NHKの「ハートネットTV」という番組が、「施設で育った私」という特集を組み、3日間にわたって放送していた。一日の仕事を終え、晩酌をしながら何げなく見た番組なのだが、大変引き込まれる内容の番組であった。殊に、ゲストとして登場していたタレントのサヘル・ローズさんが、かつては孤児であったことを知り、改めて平和ボケしている日本の外の世界の感覚が蘇る思いをした。その彼女の波瀾万丈の人生が、「Webナショジオ」で公開されているので、心ある読者に読んでいただけたらと思う。 第1回 今日と同じ明日が来るとは限らない 第2回「生きなければいけない、と思いました」 第3回 “マイペース”で“親切”なイラン人 第4回 夢はイランに児童養護施設を

彼女の記事に、「1ヶ月ほど祖国イランに滞在した後、日本に帰国すると日本人の友人から顔がきつくなったと言われる」と書かれた行があるが、実際に我が身を日本の外の世界に置いてみないことには、何故顔がきつくなるのか到底分かってもらえないだろう。亀さんの人生の先輩に、世界を7年間ほど放浪した本郷七郎さんという人がいるが、その本郷さんがしみじみと以下のように語ってくれたことがある。
(7年間の旅のあと)帰国して数日して、漸く西日にケツを向けて眠れるようになった…。
つまり、日本は西日を浴びながら、パンツ一丁でも安心して眠ていられる国という意味だ。
三日間にわたって放送された同番組を見終え、かつて亀さんの両親が正月になると、恒例のように里親として施設の子どもを迎え入れていたのを思い出した。様々な事情で施設にいる子どもたちに、せめてお正月の数日間だけでも、〝家族〟として一緒に過ごしてもらえたらと、亀さんの両親は考えていたに違いない。あの時の子どもたちは亀さんと何歳も違わなかったから、今ごろは50代後半になっているはずだが、その後どのような人生を歩んだのだろうか…。同番組でも解説していたが、一般家庭で育とうと施設で育とうと、人間が真に独り立ちするのは28歳前後と語っていたが、正にその通りだと思った。彼らが28歳前後になるまで、どのようなサポートか周囲からあったのだろうか…。
それにしても、自身が孤児だった体験を踏まえ、日本とイランの孤児たちの世話したいと語る28歳のサヘル・ローズさん、立派である。

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