ただいま。おかえりなさい。お腹は空いたのか? こういう幸せな連中には、あの不幸な娘の気持ちはわからないなぁ。 第26作「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」
佐藤利明氏は冒頭で、「幸せは自分の手でつかむもの、運命は切り開いていくもの、ということを、ぼくは山田洋次監督の作品を観るたびに思います」と書いているが、全く以て同感である。幸せは自分の手でつかむもの、運命は自分で切り開いていくものであることを、最もよく教えてくれる映画の一つが、同じ山田洋次監督の「同胞」だろう。寺尾聰演じた斉藤高志は日本の農村ならどこにもいそうな青年だが、岩手県の過疎の村で斎藤がリーダーを務める青年会が、劇団公演を計画し成功させるまでを描いた「同胞」を、1ヶ月ほど前に数十年ぶりに観たのだが、改めて素晴らしい映画だと再認識した次第である。
寺尾聰と言えば最近観た映画で、山本周五郎の短編小説を基にした「雨あがる」がある。寺尾聰演じる三沢伊兵衛の妻たよ(宮崎美子)のことばが心に染みる。
何をしたかではなく、何のためにしたかということではございませんか。あなたたちのような、でくの坊にはお分かりいただけないでしょうが…。

寅さんがすみれのためにしたこと、そして三沢伊兵衛が貧しい庶民のために賭試合をしたことは、根底でつながっていると思う。われわれも、寅さんや伊兵衛のような生き様を貫いていきたいものだ。

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