「転がる石」と題する記事を書いた折り、小生は映画「あやしい彼女」を取り上げているが、今でも忘れられないのは、多部未華子演じる大鳥節子が、「お天道様」という言葉を三回にわたり発したことだ。
 前夜、ミステリアスな写真館で73歳から20歳に若返った節子・・・。公園の滑り台で一夜を明かした節子は、目覚めて本当に若返ったことを悟る。「これは、このまま何も好きなことをしないで、老いさらばえるのを哀れに思ったお天道様の・・・」と感謝するシーン
 レストランで孫と食事をする節子、自分が若返ったことを知らない孫に愛の告白をされるのではと勘違いし、「あー、駄目、絶対駄目! 二度とお天道様の下を歩けなくなるよぉ・・・」と叫ぶシーン
 自分のあとを付け回す男をストーカーと勘違いした節子、手にしていたフライ返しで天を指しながら、ストーカーなんかするなと言わんばかりに、「お天道様は見ているよぉ~」と男に説教するシーン
お天道様・・・。最近はとんと耳にしなくなった言葉だ。それなのに、上掲の映画ではお天道様という言葉が出てくるのも、節子が73歳の戦中生まれという設定だったことも影響していよう。一方、この映画を観る人たちには戦後生まれ、それも平成生まれの若者が多いことを思うに、若者にお天道様を思い出させる、あるいはお天道様について考えさせる、良い機会になったのではと内心思っている。
ところで、お天道様という言葉は何処から来たのか・・・。このあたりは、「古本屋の殴り書き」というブログで引用していた、武田邦彦氏の発言がお天道様の一端を示している。
日本の宗教観というのは「自分をつくったもの」が神様。だから「お天道様の下では嘘をつかない」。お天道様がなければ自分は存在できないから。お天道様、海、山、川、全部が神様なんだ。 武田邦彦「日本人の宗教は自然と祖先」
そう、太陽、すなわちお天道様が無かりせば、そもそも地球に生命は発生していない。だから、太陽という存在は、偉大などといった、単なる形容詞で言い表せるようなものではない。太陽があるからこそ、我々は命を繋げることができるのだ。
こうした太陽のもたらす恵み、「自分をつくったもの」の大元として、「お天道様」という概念が生まれたのだし、それが何等かの形で我々の奥底に宿っている、感謝の念と云えよう。
お天道様については、以下の動画も紹介しておきたい。
特番『”お天道様”が見ている、日本の歴史からひも解く政治家に求められる資質とは?』ゲスト:国史啓蒙家 小名木善行氏
小名木善行氏の言葉に耳を傾けることにより、一層お天道様が心に蘇ってきたのではないだろうか。
- 関連記事
-
スポンサーサイト
|