ブログ「へっぴりごし」で紹介していた及川幸久氏の新動画、実に見応えがあった。
【及川幸久チャンネル】【ゲスト:大井幸子(国際金融アナリスト)】
何故に見応えがあったのかと言うと、国際金融アナリストという肩書きを持つ大井幸子女史が、金融業界の最先端を行くヘッジファンドは世界のお金の動きを教えてくれる、すなわち世界の趨勢をヘッジファンドから読み取れると解説していたからだ。一方の及川幸久氏の場合、現在は出家して幸福の科学の外務局長を勤めているが、それ以前は国際金融業界に長年携わってきた経歴の持ち主だ。その及川幸久氏が大井女史にインタビューするという形の動画であり、お二方とも国際金融という現場を体験してきたプロであるだけに、国際金融の現場を体験していない学者や大学教授とは、一味も二味も違っていた。だからこそ、ヘッジファンドを生業とする外国人投資家が問題視している日本の問題点、すなわち「ジャパン・リスク」を解説する大井女史の指摘が鋭かったのだろう。ここに、現場を識る者の強みを見た。
ヘッジファンドの外国人投資家というと、我々は〝ハゲタカ〟といった悪いイメージを抱きがちだが、大井女史によれば、「ヘッジファンドは国際金融の最先端を行き、ファンドマネージャーらは、世界経済の先を見通している」とのことで、そんな彼らは日本の抱えている問題点、すなわちジャパン・リスクは三点あるとしている。
1.岸田政権がインフレ対応できるのか 2.日本企業の中国依存が高過ぎる 3.台湾危機で米国が円高ドル安誘導
大井女史が語る上記の三点の解説に耳を傾けるに、「1.岸田政権がインフレ対応できるのか」については、普段から日本と世界の経済を追っている読者には、その答えについては先刻承知のことだと思う。ともあれ、今や世界的なインフレとなりつつあり、そうした懸念を明示していたのが以下のBBCニュースである。 アメリカの10月の消費者物価指数、30年ぶり高い上昇率 インフレ止まらず

Vlog4 インフレのアメリカ/ガソリンスタンド・スーパー
ここで注目すべきは、日本の国債発行高は他国と比較して、多すぎると主張する大井女史と及川氏の発言である。
 GDPに対する政府債務比率
西田昌司参議院議員や三橋貴明氏の動画に見慣れている読者は、「大丈夫、国債はドンドン発行しても日本はビクともしない」と主張する、反緊縮の識者の発言が耳にこびりついているだけに、お二人の解説に最初は戸惑いを覚えるかもしれない。
先の自民総裁選で高市早苗政務会長が、インフレ率2%に向けた財政出動を主張していたのを思い出すのだが、「待てよ」と最近の小生は思うようになった。それは、我が国の経済が日増しに衰退していき、かつ、岸田政権の愚策で日本経済の衰退に一層拍車がかかっている現在、果たしていつまで国債発行という手段が我が国で有効であり続けるのか、コロナ禍による世界同時インフレ下、換言すればスタグフレーション下にあって、こんなに日本は大量の国債を発行して本当に大丈夫なのか、そうした不安が日増しに大きくなってきた小生だった。そんな折、西田氏や三橋氏には無い、別の視点での大井女史と及川氏の国債についての発言に接し、小生が漠然と抱いていた不安を浮き彫りにしてくれたのである。
いつの日か国債が下がった場合、銀行や証券が損切りという行動に移る恐れ、あるいはコロナ禍による経済活動が停滞して久しく、物の流れも滞る(物不足)ようになったため、最早インフレを止めることができなくなるといった不安もある。加えて、物がドンドン売れてインフレになった過去を思うに、現在のインフレは全く異なるものであると、上掲の「GDPに対する政府債務比率」の図を見て思ったことだった。

次に、「2.日本企業の中国依存が高過ぎる」については、読者も書籍や動画で熟知していると思うので多くは語らないことにするが、一点だけ言及しておくとすれば、せっかく中国で儲けても、その儲けを中国国外に持ち出すことはできないということ。これは高橋洋一氏らが夙に指摘してきたことである。つまり、もし中国で何かが起きれば、中国で稼いだお金も含め、工場や設備を諦めて中国本土から退却せざるを得ない、というリスクである。その意味で、現在中国に進出している日本企業は、今のうちに対策を講じておくべきではないだろうか。
最後の「3.台湾危機で米国が円高ドル安誘導」については、米国は自国のことを最優先させる国であることは、ブラザ合意を例に挙げるまでもなく過去に幾度か起きたことである。だから、米国債を大量に抱える日本や中国に対して近い将来、米国が米国債を棒引きにするという奥の手を使ってくる公算は大きい。つまり、現在は円安ドル高であっても、米国内のインフレが止まらなければ、米国は円高ドル安という為替操作を平気で行うだろう。だから、円高ドル安になる日は遠くないと、今から覚悟しておくべきなのかもしれない。
【追加動画】 以下は及川氏によるMMTについての動画(前編・後編)で、MMT派の識者に影響を受けている人たちにとって、目から鱗が落ちること請け合いである。
MMT(現代貨幣理論) 大事なのは資本主義の精神 前編(及川幸久)【言論チャンネル】
MMT(現代貨幣理論) 大事なのは資本主義の精神 後編(及川幸久)【言論チャンネル】

【追加動画02】 12/1 小生は本稿でスタグフレーションについて言及したが、及川氏もスタグフレーションの動画をアップした。
2021.11.30【パンデミック】変異株オミクロンの出現により世界はスタグフレーション《不況なのにインフレ》へ❗️😱【及川幸久−BREAKING−】
【追加動画03】 12/2 本稿で「西田氏や三橋氏には無い、別の視点での大井女史と及川氏の国債についての発言」と書いたが、その西田昌司国会議員と三橋貴明氏の対談動画が、翌日公開されていたので以下に紹介しておこう。
西田昌司・財政政策検討本部長登場!自民党は財政観の転換ができるのか? [三橋TV第476回]西田昌司・三橋貴明・高家望愛
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