拙稿「米中衝突と半導体」にも書いたことだが、小生は1985年から1998年にかけ、12年間ほど日本の半導体業界に身を置いている。それだけに、その後も半導体業界の動向については何かと気にかけていた。
そんな小生のアンテナに引っかかったのがTSMCで、一年ほど前に渡邉正次郎さんが、「大統領、やります日本も、」というブログ記事をアップ、その中でノンフィクション作家の河添恵子女史が夕刊フジに掲載した、「トランプ大統領、WHOへ最後通告!」と題する記事を、渡邉さんが自身のブログで取り上げていたのだが、同記事で河添女史は以下のようにTSMCついて言及していた。
新型コロナウイルス対策で成功した、台湾の自信が感じられた。
これと合致するように、半導体受託生産の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が15日、米アリゾナ州に米国で2番目の工場をつくることを発表した。さらに、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)からの新規受注もストップすることが報じられた。
世界が着々と「脱中国」に進みだした。 トランプ大統領、WHOへ最後通告!
当時は小生も河添女史や渡邉さん同様、TSMCはファーウェイをアメリカから追い出してくれる、白馬の王子ならぬ正義の味方であると思っていたものだ。しかし、最近に至って ITビジネスアナリストの深田萌絵さんによる、TSMCに関する一連の動画を見て、遅まきながらTSMCの全容(正体)を掴めた次第だ。深田さんのTSMCに関する一連の動画を、本稿の最後に一部紹介しておくので、読者が関心を抱いた動画があれば、見てみることをお勧めしたい。
さて、ここ本稿で紹介したいのは以下の動画で、数日前に渡米した深田萌絵さんは、司法省に宣誓供述書(Affidavit)を提出、TSMCの実態を明らかにした内容とのことだ。宣誓供述書を提出したことの意味は大きく、一つでも事実と異なる記述があれば、罰金若しくは5年以下の自由刑に処せられる、非常に重い意味を持つのが供述書である。それだけに、深田さんの覚悟のほどが良く分かる動画と言えるだろう。
私に起こったこと。信じてもらえないかもだけど。米で通報
深田さんは同時に、焦佑釣(華邦電子CEO)についても言及しており、特に読者に注目して戴きたいのは、動画の15:23あたりからの深田さんの解説で、日本の国益を大きく左右しかねない重要な解説となっている。そのあたりの詳細は、たとえば『Will』(2020年2月号)に掲載された、深田さんの記事を取り上げた以下のブログ記事等を参照していただきたい。 パナソニック半導体事業部売却で、日本はとんでもないことに!

小生は拙稿「台湾と西田哲学」で昨年正月の訪台を報告、台湾について高く評価した記事を書いており、その思いは当時も今も変わらない。しかし、改めて考えなければならないことは、台湾人は本省人と外省人とに分かれていること、そして相互に目に見えぬ対立があるということである。そして外省人と中国本土との繋がりは、我々日本人が想像する以上に根深いものがあるのだが、外省系の半導体企業であるTSMCも、深く中国本土と繋がっていることを、気づかせてくれた深田さんには感謝する他はない。
そのTSMCを日本政府が支援するという、記事が数ヶ月前に流れていたが(以下)、我が国の国益を護るという観点に立脚すれば、日本の国益を損なうとんでもないニュース(政府支援)である。強く反対の声を上げていこうではないか! 台湾半導体大手が日本拠点 茨城に新設検討、政府支援
【深田萌絵さんによる他のTSMC関連動画】
米政府、台湾半導体大手TSMCを敵認定? 経産官僚の話は大嘘!
【米国VS台中半導体戦争】米国はインテルで台湾TSMCに勝てるのか?業界懸念のウソとホント
【15分で分かる】日本の半導体弱体化の歴史と背景。車載チップは何故足りない?
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