小生は過去二十年間にわたり、国内を含む世界中の自動車メーカーから、翻訳会社を介して翻訳を承ってきた、小生の翻訳の仕事の半分以上が自動車関連で占めており、言わば自動車メーカーのお陰で、生計を立ててきたといっても過言ではない。そこで、恩返しの意味も籠めて、米中対立という今の世界にあって自動車メーカーのとるべき戦略・戦術について、憚りながら個人的に思っていることの一端を書かせていただくことにした。 かつて、飯山一郎さんと自動運転について、放知技でやり取りしたことがある。http://grnba.bbs.fc2.com/reply/16237327/328/ 小生が本田技研に籍を置いていた時期(1975~1982年)は、自動運転などは夢のまた夢と思っていたものだ。しかし、その後における技術的な進歩は目覚ましく、車の電子化が急激に進み、半導体や電子部品が大量に使われるようになった。それは、半導体製造装置メーカーや半導体メーカーに、勤めていた時期(1985~1998年)と妙に一致している。ともあれ、自動車と半導体という両分野のメーカーに勤めた、個人的な体験が大きく物を言い、翻訳という独立開業の世界に足を踏み入れてからも、自動車や半導体の技術的な理解にさほど苦労しなかったのは有り難かった。 この自動車と半導体に関して、興味深い動画を深田萌絵女史が二本公開している。VIDEO 自動運転の恐ろしい課題とファーウェイの野望 VIDEO 【CASE革命】ファーウェイ一味がトヨタを駆逐する 深田女史がいみじくも語っているように、日本メーカーが得意とする機械系の技術分野に今後は一層力を入れていくべきだし、また、政府や官庁によるメーカーへの支援強化も必要だとする深田女史の主張、小生も全く以て同感である。 ともあれ、日本車とファーウエイの〝腐れ縁〟は、上掲の深田女史の二本の動画で理解いただけたと思うが、ここで、はぐらめいさんの興味深いブログ記事を紹介しておこうアヘン戦争以来の中国の夢の実現「中国人が、中国市場の主人になる」 以降、田中宇氏の記事中にあった、以下の行を念頭に読み進めて戴きたい。結論から先に書くと、インド太平洋諸国の製造業の企業が、中国に全く頼らず、中国抜きでに製造活動を続けていくことは非常に困難で、多分不可能だ。やれるとしても、まともに機能するまで何年もかかる。中国は、世界の主要な製造業者の下請けを何年もやってきた。品質管理、労務管理など、国際企業が低コストでやろうとすると中国に頼むしかない分野がいくつかある。中国に頼まないと製造コストが上がり、品質も落ちる。国際大企業は、自社製品の品質を何年も落とすことなどできない。製品の大幅値上げもやれない。中国包囲網であるインド太平洋を経済面に拡大する「中国外し」の策は成功しない。掛け声だけに終わる。 (Trump’s China-bashing gives US a bloody nose)
はぐらめいさん紹介の田中宇氏の記事に目を通し、頭が混乱した読者も少なくないことだろう。無理もない、昨今の米中対立は日増しに緊迫しているというのが、世界の識者の間における主流的な見方だからだ。以下の動画もそうした典型例の一つである。VIDEO 中韓外交に世界から厳しい目?! さて、個人的に田中氏の上掲記事を一読した上での第一印象は、田中宇氏の説く中国台頭説、悉く世界と対立あるいは衝突し、一帯一路を強引に推し進めるという、習近平の強行路線に全く触れていない点、実に不思議な気にさせられたことを告白しておこう。それはともかく、習近平の強硬路線ではなく、国内を重視する李克強路線に中国が舵を切れば、田中氏の中国台頭説も現実味を帯びてくると個人的に思った。 ただし これだけ世界が狭くなってきた今日、一国あるいはブロック圏内だけで生きていくという、ブロックチェーン型(一国またはブロック圏完結型)は、今の世界では非現実的だ。たとえば石油、これは中近東などから輸入する必要があるし、自国が不得手な分野のハードやソフトは、それを得意とする自国外、あるいはブロック圏外から輸入しなければならないというのも事実である。そうしないことには、特定の技術分野で他国や他ブロック圏に後れをとる一方だからだ。 それにしても、田中宇氏の記事を読む度に、ある種の違和感を拭い去ることができないのは何故なのだろう。群盲象を評すという格言があるが、田中氏も群盲の一人という感が強く、そのあたりは以下の同氏の言葉からも明白だ。今後、日本が米中のバランスをとっていくことが格段に難しくなる。それが明らかになる直前に安倍が辞任を表明した。両者が無関係だとは考えにくい。火中の栗を拾い、泥をかぶるのは次期首相だ。安倍はいいとこ取りだけして逃げた。安倍は、格好悪い終わり方をしたくなかったのだろうが、実のところ安倍は格好悪い。泥をかぶっても良いと考える菅や石破の方が格好良い。
国益、国士、天皇、日本文化(※1 )、マキャベリズムといった、世界情勢を正確に読み抜く上で不可欠な鍵語(キーワード)について、どうも田中氏は解っていない節がある。ましてや、「総理」について意味論的に理解することは、同氏には到底無理なのだろう。 自動車の話に戻そう。1990年代のパソコンOSは、マイクロソフトとインテルが組むことにより、Windowsが世界標準となったように、果たして、2020年代の自動車の世界標準は、中国になるのかそれとも欧米か、実に興味深い展開が今後見られそうだ。※1 以下の動画は、最近観た日本文化に関する動画の中で、最も良かったと思うので紹介させていただく。VIDEO 特番『アイヌ人など存在しない、日本民族としての政治・教育~アイヌ先住民族説、弥生人渡来説のウソ』ゲスト:著作家 宇山卓栄氏
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