一匹狼型のジャーナリスト田中宇氏が、世界中から袋叩きに遭っている中国について言及、「中国は台頭するか潰れるか」(無料版)と題する記事を執筆した。その田中氏、今回のような記事を書いた理由として、以下のように述べている。
これまで、中国の台頭については何度も記事にしてきたが、中国が潰れる可能性についてはあまり分析してこなかったので、今回はそれについて書いてみた。
世界の識者の多くが窮地に立たされた中国と見ている中、中国は潰れることはない、むしろ覇権国家として台頭する、という結論を田中氏は導き出していることから、もしかしたら、米中衝突で今まで自分が見落としていたことが、田中氏の記事から見つかるかもしれないと、一種の期待を込めて記事に目を通した次第であるが、残念ながら期待を裏切られたようだ。
ここで、米中衝突という世界の潮流を正確に捉えるには、根底となる個人の持つ史観が正しければ、やはり正しく米中衝突の構造を読み取れるはずだが、一方で個人の史観が歪んでいると、導き出される結論も歪んだものになってしまう、ということを改めて思い出す必要がある。換言すれば、小生が今までに米中衝突シリーズを書き続けてきたのも、根底となる己れの史観に歪みがないかどうか、慎重に見直すための作業でもあったと云えよう。
そうした小生の史観に歪みがないと、改めて自信を持てたのが、掲示板「放知技」にあった境のおっさんの投稿であった。
したがって、中国の一帯一路戦略を阻止するには、
中国自身が内需中心の大国となることを促すのが最良の策となる。
DSはそのことを望んでいない。
米中の緊張を醸しながら、独占企業が支配するアメリカ、
そして、真に独裁体制であらゆる国民支配の実験を続ける中国。
この二つを手に入れ、そのどちらからも未曾有の利益を得ようとしている。
NWOと言われる目標にはどちらも必要だからだ。 http://grnba.bbs.fc2.com/reply/17178824/607/
つまり、DS(ディープステート)の狙いを一言で言い表せば、利権(利益追究=寄生虫)ということに尽きるのであり、このあたりは拙稿「ツランと世界権力(初級編)」にも書いたとおりで、要するに連中(DS)の正体は寄生虫に他ならない。
そして、拙稿「ツランと世界権力」という題名が示すように、DSに対抗するツラン(宿主)を念頭に置けば、国際情勢を把握する上で、大きな見当違いをせずにすむはずだ。
また、今後の中国の動きを追うにあたり、「中国自身が内需中心の大国となることを促すのが最良の策」とする、境のおっさんの発言を念頭に置けば、都度、中国の動きが正確に掴めるはずだ。だからこそ、小生は後述したように、中共ナンバーツーの李克強を支援しているわけである。
さて、以上を念頭に田中宇氏の記事を点検してみよう。田中氏は中国が潰れずに台頭してくるとする、数々の理由を挙げているが、小生が注目したのは田中氏による以下の自問自答である。
田中氏の自問(1) 共産党の上層部での権力闘争が激しくなって習近平の独裁体制が崩れるのか? 田中氏の自答(1) 私の見立てでは、トランプが中国敵視を強めているのは習近平を強化するためだ。
明らかな間違い。トランプと習近平の立ち位置を田中氏は全然分かっていない。上掲の境のおっさんが、「トランプだからこそ、誤りに気付けた」と書いた背景を田中氏は理解していないのだ。つまり、習近平の背後には利権を追い求めるDSが存在し、そのDSを敵対視するトランプが、何故に「習近平、すなわちDSを強化する」というのか? 要するに、田中氏はトランプの肚、そして習近平の肚も全く見抜けていないのである。
田中氏の自問(2) 香港の民主化要求運動が大陸に波及して中国で反政府運動が激しくなるのか? 田中氏の自答(2) 新型コロナのせいで以前よりさらに現実味が乏しくなった。
この点では、田中氏と同意見である。習近平が君臨している限り、香港民主化の芽は無く、そのあたりは中国の過去の王朝を振り返れば一目瞭然だ。
ここで注目すべきはベトナムである。ベトナムは過去二千年間にわたって中国と対峙してきた国であり、唐帝国崩壊までの千年間は中国の植民地だったし、独立後の千年間は中国との戦争に明け暮れていた国だ。このように、二千年にわたって蓄積してきたベトナムの持つ対中国のノウハウは、我々日本人が学ぶべき点が実に多く、そのあたりを明確に指摘しているのが川島博之氏である。「【討論】世界覇権は中国に!?[桜R2/7/25]」と題する討論会が、先ほどチャンネル桜でアップされたが、最初の一時間ほどはパネリストの自己紹介を兼ねた、各々の中国観の披露となっており、川島氏もパネルストの一人として参加、同氏の発言は中国の正体を知る上で必聴である。
それから、田中氏は「外国人への監視も強まった」とも書いており、そのため「米諜報界(軍産複合体)は中国の政権転覆を支援できなくなっている」と主張しているが、これも間違い。習近平が今のやり方を堅持する限りにおいて、DSすなわち米国の軍産複合体は習近平を支えていくはずだ。そして、境のおっさんが仰せの通り、「中国自身が内需中心の大国となる」ことこそ、DSが最も恐れていることであり、そのあたりは習近平、すなわちDSの李克強に対する態度で分かるだろう。
「中国に衝撃「月収1.5万円が6億人」の貧しさ 家計資産1億円超える大都市との巨大な格差」 「中国「露店経済」巡り習近平主席と李克強首相がつばぜり合い」

以上、「(1)と(2)の両面で、中共の政権崩壊は前より起こりにくくなっている」と田中氏は述べるのだが、確かに習近平が健在な間はそうかもしれない。ただ、習近平にも人としての寿命というものがあり、長続きするようには到底思えないのである。
それ以外にも、田中氏の主張には納得のできない点が幾つかあった。
田中氏の発言:その1 トランプ政権は、中国の金融機関にドルを使わせないようにする経済制裁を検討しているが、これはドルの基軸通貨性を低下させる自滅行為だ。
その理由として田中氏は、「米国が中国を金融面で制裁すると、それは中国の崩壊でなく非米的な台頭につながり、米国の覇権体制の方が崩れていく」としているが、小生は米国の覇権体制が崩れるより先に、中国の経済が崩壊すると見る。
香港国安法と中国経済|経済的な岐路となるのか?
田中氏の発言:その2 米国の中国敵視が高じて軍事的な米中戦争が起こり、中国が物理的に破壊されるシナリオも日本人のお好みだ。だが、このシナリオは以前から絵空事である。
確かに核を保有する大国同士の戦争は、敵国だけではなく自国の滅亡にもつながりかねないことから、中国だけが一方的に「物理的に破壊されるシナリオ」は考えにくい。ただ、核を使わない戦争すらも起こらないだろうとは、決して云えないのである。
田中氏の発言:その3 トランプはWHOからの脱退を決めたが、これによってコロナやその次のパンデミック(国際政治的な謀略としてありうる)の国際対策における主導権が米国から中国に移転していく。
これは、中共とテドロスWHO局長の癒着ぶりを、分かっていない者の戯れ言である。
【補遺1】
河野防衛相が中国の尖閣での「執拗な行動」を批判 防衛白書で北朝鮮・韓国の記述にも変化が
※ 防衛白書のダウンロード先: https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/
【補遺2】
領事館で盛り上がる両国
ここを選んだ理由
活動拠点
【補遺3】
【親中派】二階幹事長、引退してください!【WiLL増刊号#235】
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