今度こそ、飯山史観シリーズを再開するつもりで意気込んでいたところ、またまた「米中衝突」シリーズを書く羽目になった。それは、拙稿「米中衝突と経団連」で、香港国家安全維持法が八月に発動された場合、「中国は香港と共に衰退の一途をたどっていくことだろう」と、小生は書いたのだが、逆に、「中国は浮上する」と主張する記事に出会ったからだ。その記事とは、行政調査新聞が6月25日に公開した、「沈みゆく米国、浮上する中国、どうする日本」。
最初に、行政調査新聞の新記事の内容を要約するとすれば、「米軍がアジアから引き揚げ、代わりに中国が進出し、アジア太平洋地域を米国と中国とで分割、米中の二国で多極化の世界を目指す」ということになろう。しかし、眼光紙背に徹して同記事を読むに、幾つかの粗が見えてくるのである。そのあたりについて、主題に沿って以下に解説を試みてみよう。
■沈みゆく米国 米国は衰退していくとする同紙の主張、この点に異論はない。その通りだからだ。生老病死という仏教の言葉があるように、人、社会、国家、文明、いずれも生老病死という運命から逃れることはできないからだ。
もう一点、トランプがヨーロッパやアジアから米軍を引き上げるという背景として、「軍産複合体との争闘」と指摘する行政調査新聞の見方、これも正しい。ただし、小生の視点と異なるのは、同紙は習近平をハト派と見做している一方、小生はタカ派と見做していることだ。拙記事「米中衝突と統一協会」でも、小生は以下のように書いた。
昨今の米中衝突、これは、トランプというハト派vs.習近平というタカ派の衝突と言い替えることもできよう。
■浮上する中国 行政調査新聞が主張するように、これからの世界は、多極化していくとする点については同意見である。しかし、中共が現状のまま、すなわち習近平体制の維持に確執するのであれば、中共はアメリカによって衰退に追い込まれていくと小生は思う。やはり、李克強の流れを汲む指導者が、次の国家主席を引き継ぐのでもない限り、中国が浮上するなどということはあり得ない。その意味で、行政調査新聞がいうところのトランプ・習近平同志説には同意できない。そのあたりの理由は、拙稿「米中衝突と香港」にも小生は書いている。
一帯一路といった現行の路線を、強行に貫くしか残された道はなく(そうしないと中共が崩壊する)、行き着く所まで行って、最後は崩壊の道を辿るだろうと小生は思っている。
■どうする日本 最後に、米中衝突の狭間にあって、日本はどうするべきかについて、行政調査新聞は以下のように書いている。
いずれにしても、イージス・アショア中止決定で軍産複合体は、 大きな痛手を負うことになった。単にイージス・アショアだけの問題ではない。軍産複合体の 「 カネづる 」 だった日本が寝返ろうとしているのだ。そして、当然のことだが、軍産複合体は死力を尽くして安倍を首相の座から引きずり下ろす決定を下した。
その通りである。このあたり、放知技へのmespesadoさんの投稿、内閣支持率に繋がってくるのだ。
前回の6月7日の世論調査から今回の調査(11日~22日)までのタイ
ムラグにどの程度意味があるかは微妙なところではあるが、前に「今回の支
持率低下は本物」と書いたが、どうやら本当にそうなってきたようだ。 http://grnba.bbs.fc2.com/reply/17178824/461/
ともあれ、米中対立の狭間にあって、日本はどうするべきかという指針を、政府が明確に示しているわけでもなく、大手マスコミが記事にしているわけでもない。行政調査新聞にしても、日本が果たすべき役割について具体的に述べていないのだ。そこで注目していただきたいのが、以下の動画だ。
特番『ポストコロナで見えてきた”新世界秩序”とは?』ゲスト:批評家 西村幸祐氏
一通り同動画を観てみたが、日本が果たすべき役割というものは何かについて、明白に西村氏が把握していることを知り、心から嬉しく思ったものだ。加えて動画の最後で、西村氏が自ら進んで日本が果たすべき役割の旗振り役を、買ってでもやると宣言していたのには感動した。よって、微力ながら、愚生も出来る範囲で西村氏を応援していきたいと思う。蛇足ながら、拙稿「貴族の時代 03」で紹介した、武田邦彦氏の一連の動画を観れば、西村氏が言わんする「日本の役割」の真意が理解できよう。

最後に、何故か行政調査新聞は記事の最後で北朝鮮を持ち出し、以下のようなことを書いている。
「北朝鮮は大日本帝国の残置国家だ」といわれると、何となくそう思ったりする。
「金正恩は横田めぐみさんの子供だ」などという怪情報も飛び交う。これら怪しい情報の真偽のほどは、 判らない 。だが明確なことがある。こうした怪情報の出所は 、 殆どが北朝鮮なのだ。怪情報の 殆ど は 、 ニセ情報 ・ 作為情報と考えていい。
そんなガセネタは、 すべて捨て去って北朝鮮という国を冷静に見てみよう。
咄嗟に思い出したのは、晩年の山浦嘉久さんだ。嘗ての山浦さんは、金正恩の御母堂は横田めぐみさんだと断言していたし、『月刊日本』にも堂々と記事にしていた。しかし、晩年に至っての山浦さんは何故か、横田めぐみ=金正恩の御母堂説を完全否定する側に回っていたのである。
行政調査新聞の海外情勢の記事の場合、執筆者が〝二名〟おり、一名は藤井厳喜氏、もう一名の執筆者は、「行政調査新聞」を代表する形で記事を書いている。ここで、小生の記憶が正しければ、執筆者は社主の松本州弘氏ではなく、世界戦略情報誌『みち』の筆者の一人であり、「常夜燈」のリレー執筆者である黄不動さんだと、大分前に天童竺丸編集長から聞き及んでいる。この黄不動さんと山浦さんが横田めぐみ説を否定するようになったのは、何が原因だったのか…。このあたりについては推測の域を出るものではなく、記事にするのは控えたいと思う。
それから、ここ暫く姿を現さない金正恩について、放知技の堺のおっさんは金正恩生存説、一方でブログ『文殊菩薩』の野崎晃市博士は、死亡説を取るといった具合に、飯山一郎さんの最後の本となった、『金正恩が統一朝鮮王になる!!』の執筆者や追悼文を寄せた人たちの間でも、最近では金正恩の死亡説を巡って意見が真っ二つに分かれている。このあたりについての私見は、いずれ機会をみてブログ記事にしたいと思う。

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