本日アップされたJBpressの新記事、「コロナ禍がもたらす新産業革命と新世界秩序」は、個人的に過去三十年以上にわたって、実に様々な角度から考察を重ねてきた「情報革命」について、改めて考察してみようと駆り立たせてくれた記事であった。
同記事に一通り目を通し、冒頭の写真も含め、早速全文を一枚のPDFに纏めた。何故なら、JBpressの場合は同じ筆者による次の新稿がアップされると、旧稿は最初の一ページしか読むことができなくなり、残りは有料会員のみが読めるスタイルをとっているからだ。読者におかれても、これはと思うJBpressの記事があったら、テキストだけでも良いし、写真や図表が載っていたら、WorrdやPDFにして保存しておくのも悪くないかもしれない。
さて、本題に入ろう。
 マクロメガの視点による重大事件年表
上掲図は本ブログでも時々公開しているが、巨視的に全宇宙史を俯瞰する上で、実に様々なヒントをもたらしてくれる図と言える。今回は、右上の「情報革命」という語彙に注目していただきたい。
この「情報革命」について思索を巡らしていくにあたり、コンピュータ、殊にその頭脳に相当するCPU(中央処理装置)を念頭に考えていくと理解しやすいはずだ。このコンピュータの基本概念が曲がりなりにも形として登場したのが、紀元前二千年の古代バビロニアであり、「アバカス」という手動式デジタル計算器が最初だったのではと思われる。
ここで、時計の針を一気に近代に進めてみよう。電気が発明され、やがて1940年代に最初の実用デジタルコンピュータが登場した。爾来、数十年の助走期を経て、二十一世紀に突入、最近に至って漸く情報革命が開花するという声が、世界の識者の間から聞こえてくるようになった。そこへ突然世界をコロナ禍が襲ったというわけだが、そのコロナ禍と情報革命を結びつけた記事が、上掲のJBpressの記事というわけである。
筆者の山崎養世氏は、元ゴールドマン・サックス投信株式会社代表取締役社長とあり、現在は独立して実業家として活躍しているようだ。日本の支社とは云え、ゴールドマン・サックスの社長を務めていただけあって、なかなかの切れ者だということが容易に想像がつく。
この山崎氏の上掲記事を一通り読んでみた。同氏の旧稿「新型コロナ禍がもたらす戦後最大の経済危機に備えよ」、および「21世紀型世界大恐慌の足音が聞こえる」は、すでに有料記事となっているので全文を読むことはできなかったが、今回の新記事の冒頭で左の自身の旧校を紹介しつつ、以下のように述べていることから、放知技で展開されているメスペサド理論を超えるものではないことが瞬時に分かった。
新型コロナウイルス感染症による世界的な財政赤字が国債発行の限界を招き、そこから21世紀型の大恐慌をもたらす可能性については、これまで説明してきた。
それはともかく、山崎氏の頭の中にある、「情報革命」とは如何なるものか、そのあたりを物語っているのが以下の記述である。
さて、それでは今回のコロナがもたらす経済の変動は、インダストリー4.0の見方によるインターネットとAIがいっそう普及するというものなのか、あるいは産業革命のように社会構造や世界構造に大きな変化をもたらすものなのか。
もしくは、インダストリー4.0と新しい世界システムの大きな構造変化の両方がやってくるのだろうか。
そして、個人は、企業は、国家は、そして人類はどのような行動を取るべきなのだろうか。
つまり、どのような情報革命の世界が到来するのかについて、山崎氏は明瞭に同記事では書いておらず、次稿「21世紀人類の旅」で述べていくようなことを同記事の結語としていたので、取り敢えず次稿を待って目を通してみるしかないが、ネットで確認するに山崎氏は1958年生(61歳)とあり、どうも情報革命について語るには薹が立っている感がある。ともあれ、実際に次稿に目を通して期待外れであれば、山崎氏の次稿をブログ記事にするまでもないだろう。
ところで、元ゴールドマン・サックスの元日本支社社長というだけあって、同氏の史観がアメリカナイズされているあたりを、如実に示していたのが同氏の以下の記述だ。
そのためにフランクリン・ルーズベルト大統領(当時)が提唱したのは、1945年当時では革命的な世界経済システムだった。
それは、自由貿易、国連を中心とした世界の安全保障、植民地支配を認めない各国民の権利の平等、といったイノベーションであり、第2次大戦後に米国と世界が採用して戦後世界の繁栄をもたらすこととなった。
この経済システムによって、戦勝国だった英国やフランスはそれまでの世界支配の座から脱落し、戦後はヨーロッパの有力な国家という位置づけに軟着陸した。
小生は拙稿「貴族の時代 04」で、植民地だった世界の各国の独立こそ、大東亜戦争の最終的な目標だったということを書いたが、そこに山崎氏が触れていないあたり、山崎氏の「智の限界」を見た。
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