道友の猿都瑠さんが、最近入手したという本を紹介していた。 『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』

猿都瑠さんが入手したという本の題名を目にして、脳裏に浮かんだのが数学者・望月新一、続いて自然定数だった。
最初に、望月の凄さはアマゾンの「商品の説明」を覗くだけで想像できよう。
京都大学の望月新一教授によって構築された論文は、「未来から来た論文」と称されるなど、数学界のみならず、世界に衝撃をもたらした。
この論文は、世界で理解できるのは多く見積もっても数人、といわれるほどの難解さであり、論文の発表から6年以上たった現在もなおアクセプトに至っていない
望月について関心のある読者は、『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』にあたっていただくとして、今回の主テーマは望月ではなくて自然定数だ。
黄金比やフィボナッチ数列という言葉に接した読者は多いと思うが、なんとなく神秘的な響きがあり、つい、自然定数の一つではと勘違いしそうである。しかし、違うのである。
最初に、小生は旧ブログで『虚数の情緒』という本の書評をアップしているが、その中で以下のような書評を残している。
筆者(亀さん)が『虚数の情緒』を評価している理由の一つは、黄金比およびフィボナッチ数列について、さわり程度ではあるものの、真面目に言及している点です。
今となっては、上記の記述を削除したい気持ちで一杯だ。それは、『栗本慎一郎最終講義』に書いてあった、以下の記述による。
黄金比や黄金分割が人の感覚にとって美しいものと働きかけたという証拠はない。根拠も皆無だ。むしろ、作業の都合上楽なようにと、人が悪い頭を絞って考案したということが容易に想像出来るのである。完全に人知の及ぶ範囲内にあって、その意味で少しも面白くない。
だからなぜ決まっているのか分からない多くの自然定数(光速c重力Gや電子の質量meなど)とも、もちろん違うのである。これらの自然定数は、社会よりもいくつかの上位の層において決められているものだろう。 『栗本慎一郎最終講義』p.44

詳しくは、黄金比とフィボナッチ数列について言及した、『栗本慎一郎最終講義』の小節「冬至線、聖方位と黄金比は違う」(p.41~44)に目を通していただくとして、栗本の文章を目にして、黄金比・フィボナッチ数列についての見方を、根底から変えなければならないということに気づかされたのである。世の中には、「フィボナッチおじさん」という具合に、黄金比・フィボナッチ数列の信者が大勢おり、栗本の本を読むまでは小生もそうした信者の一人だった。しかし、栗本に言わせれば、黄金比やフィボナッチ数列は神秘でもなんでもなく、単に、「人が悪い頭を絞って考案した」モノに過ぎないと、バッサリとフィボナッチ数列信者を斬り捨てている。この栗本の文章を目にした小生は最初、暫く考え込んでしまったのだが、やがて、「なるほど、言われてみれば、確かにその通り」と、漸く納得した次第である。
では、フィボナッチ数列といったものと対極をなす自然定数とは何か、ということになるわけだが、上掲の栗本の言葉(下線)、「自然定数は、社会よりもいくつかの上位の層において決められている」が示すように、人智の及ばぬ次元の神数こそが自然定数なのだ。自然定数こそ神の数であり、何故にかかる自然定数が存在するのかという答えは、小生が生きている間に解けそうにない。
拙稿「天武天皇 05」で、地元の同窓生M君と偶然街中でバッタリと会い、近くの喫茶店で多くを語り合ったことを書いたが、久しぶりの語り合いの最後に、小生は以下のようにM君に語った。
我々が、あと10年あるいは20年生き永らえたとしても、どれだけ体験を重ねたとしても、どれだけ多くの本を読んだとしても、知り得ることはホンの一部だろうね。九牛の一毛を知っただけで、この人生を終えるのは間違いない。
それが分かっていながら、知的好奇心が些かも衰えないのは何故なのだろうか…。苦労して真実・真理を追究し、やがて、「あっ、分かった」と思った瞬間、さらなる未知の世界が眼前に広がっていることに気づかされるのである。そして、再び追究していくということを、今までの人生で幾度繰り返したことか…。吉川英治ではないが、まさに「生涯一書生」ということなのだ。思えば、「なぜ、夕陽は赤いの…?」と、物心がついたころから小生は書生だったし、いまでも書生の身であるが、こうした生き方を悔いたこと、一度もない。 人生如白駒過隙

【追記】 神計らいで、録画しておいたNHKドキュメンタリーの「超AI入門特別編 世界の知性が語る パラダイム転換」を見た。AIは放知技でも時折だが話題になっており、かつ『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』に関連しそうなだけに、興味深く同番組を見た。
同番組で最近進歩が著しい将棋ソフトを取り上げていたが、ここで渡辺正次郎の以下の記事にも目を通していただければと思う。 羽生善治氏はいい事言うなぁ!!
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