過日、拙稿「自省録と合気道」をアップしているが、その時に紹介したのがJBpressの「古代ローマの人生訓と合気道精神はこんなに似ている」という記事だった。記事の筆者は佐藤けんいち氏。その佐藤氏の最新記事(以下)も、実に興味深い内容であった。 発見に満ちている人工河川・利根川の“流域”
利根川と言えば、最近見たNHK「新日本風土記」の再放送番組、「利根川」を思い出すのだが、佐藤氏も記事で利根川の東遷について言及している。
利根川の東遷 江戸時代初期の17世紀前半に行われた大規模土木事業のことだ。もともと江戸湾(現在の東京湾)に流れ込んでいた利根川の中下流を、人工河川を開削することによって流れを変え、東の銚子河口から太平洋に流れ込むようにしたのである。重機の存在しない時代であり、着手から完成まで約60年かかっている。

小生が注目したのは、竹村公太郎氏の利根川に関する仮説を、佐藤氏が取り上げていたことだ。拙ブログでも、過去に竹村氏の著作を紹介した、「地形・気象というモノサシ」と題した記事を書いている。詳しくは竹村氏の著作にあたっていただくとして、今回の佐藤氏の記事中、最も注目したのが今上陛下の御本である。
 『水運史から世界の水へ』(徳仁親王、NHK出版、2019)
アマゾンで確認したところ、同書の内容構成は以下のようになっていた。
はじめに 第1章 平和と繁栄、そして幸福のための水 第2章 京都と地方を結ぶ水の道 ―古代・中世の琵琶湖・淀川水運を中心として 第3章 中世における瀬戸内海水運について ―兵庫の港を中心に 第4章 オックスフォードにおける私の研究 第5章 17~18世紀におけるテムズ川の水上交通について 第6章 江戸と水運 第7章 水災害とその歴史 ―日本における地震による津波災害をふりかえって 第8章 世界の水問題の現状と課題 ―UNSGABでの活動を終えて 参考収録 Quest for Better Relations between People and Water
そして、以下は同書の内容紹介だ。
皇太子殿下が語る「水の力」「水の恵み」 中世・瀬戸内海の水運史や、17~18世紀のイギリス・テムズ川の水上交通史の研究を経て、関心はやがて世界の水問題へ。史料に真っ直ぐに向き合い、各地の水利用の現場を歩き、水災害の被災地への訪問を重ねてこられた殿下のまなざしは、「水と私たち」の未来に向けられてゆく。昭和62年(1987年)の初講演から平成30年(2018年)の世界水フォーラムの基調講演まで、皇太子殿下のご講演の記録・全9篇。
ところで、最終章の第8章に関連することだが、小生は翻訳者として駆け出しの頃、陛下が基調講演をされた、世界水フォーラムの翻訳を一部担当したことがあり、爾来、陛下と水について、時々思いを巡らせてきた。その意味で、同書は陛下の水運研究に関するものだけではなく、同時に陛下の人間が浮き彫りにされており、現皇室に関心のある読者にとって欠かせない御本となっている。以下、アマゾンのカスタマーレビューから…
吉村和就 徳仁親王殿下の水に対する研究の集大成である。第三回世界水フォーラムから第8回世界水フォーラムに参加し、殿下の講演を生で、又会場のビデオで拝聴した私に取り最高の書籍であり、販売直後に買い求めた。殿下自ら撮影した写真、必ず水の現場に行き確かめた歴史上の事実が随所に織り込まれている。日本国民、皆が手にとって読んで頂きたい待望の書籍である。
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