
昨日、NHKで放送された映画「阿弥陀堂だより」、幸い本日の仕事は早めに終わったので先程まで鑑賞していたが、実に心洗われる映画であった。
同映画のロケ地は長野県飯山市。新緑が眩しい五月から、フキノトウが芽を出す翌年の早春まで、飯山市の美しい自然をアクセントに物語は展開する。医療の最先端で活躍していた上田美智子(樋口可南子)は、パニック障害を病んで夫である上田孝夫(寺尾聡)の古里に引っ越し、阿弥陀堂という小寺で独り生活する、おうめ婆さん(北林谷栄)との心温まる交流を重ねていく…。以下のサイトにアクセスすれば、飯山市の自然の織り成す美しさと、同映画の粗筋を同時に味わうことができよう。 シネマ紀行
所々のシーンが脳裏に焼き付いたが、特に印象に残ったのがラストシーンで、44歳にして子供を授かった美智子が嬉しそうに夫に報告する姿を見て、おうめ婆さんの姿が浮かんだ。「人の一生」や「今を生きる」を書いた身として、96歳のおうめ婆さんと、これから生まれてくる新しい命、どこか心に迫りくるものがあった。
数々の珠玉の言葉も忘れ難い。特に、小百合(小西真奈美)の以下の言葉…
小説とは、阿弥陀様を言葉で作るようなものだと思います。
【男はつらいよ】

上掲の映画を観ながら、脳裏に浮かんだのが「男はつらいよ」であった。「阿弥陀堂だより」に出演した俳優の多くが、「男はつらいよ」にも出演している…
「寅次郎夕焼け小焼け」 寺尾聡 → 元気だった頃の寺尾の父・宇野重吉と岡田義子の共演は、山あり谷ありの人生を歩んできた人間ならではの名演技だったと、今にして思う。
「寅次郎恋愛塾」 樋口可南子 → 1985年8月3日に公開の作品なので、当時の樋口可南子は27歳、思わず見蕩れてしまう美しさである。一方、「阿弥陀堂だより」の樋口は44歳になっていたが、年齢とともに滲み出る内面的な美しさを見事に出していた。
「旅と女と寅次郎」 北林谷栄 → 佐渡の民宿・吾作のおばあちゃんを好演しており、実に味わいあるシーンだった。都はるみが民宿で歌う「矢切の渡し」も強く印象に残る。
「寅次郎春の夢」 香川京子 → 拙稿「寅さんと翻訳」参照。
「望郷篇」 井川比佐志 → 井川の出た「望郷篇」は、拙稿「寅さんのことば 第2部 24」でも取り上げているが、むしろ、同じ山田洋次監督の撮った「家族」(1970年)の方が印象に残る。あれは、実に良い映画だった。

「浪花の恋の寅次郎」(1981年)~「寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」(1997年) 吉岡秀隆 → 諏訪満男役だった吉岡秀隆も今年で48歳(1970年8月12日生)、子役時代のイメージが強いので、モー五十路も目の前かと、何んだか信じられない気分だ。
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