ふと気がつけば、今年も三分の一が終わろうとしている。それなのに、古墳時代シリーズはやっと十回目を迎えるという為体で、筆が遅々として進まない。そのため、次のシリーズである「天武天皇」に進むまで、少し時間がかかりそうだ。
さて、現在続けている古墳時代シリーズについてだが、小生が掲示板「放知技」に投稿した以下の文章に集約できると思う。
応神天皇の父君・仲哀天皇を弓で殺めたのは、熊襲の酋長であった応神天皇本人という一例を挙げるまでもなく、皇統は〝万世一系ではありません。しかし、「天皇霊性」という観点から見れば、間違いなく皇統の万世一系は世界最古、今日に至っても綿々と続いていると云えます。 http://grnba.bbs.fc2.com/reply/16675542/386/
上掲の一文を叩き台にすれば、拙ブログで書きたいテーマが幾つか浮かび上がってくる。たとえば、応神天皇の出自。これについては数説あり、安本美典氏の『応神天皇の秘密』(p.24~27)によれば、以下のとおりだ。
(1) 騎馬民族出自説 (2) 九州地方の豪族説 (3) 大阪平野を地盤とする豪族説(河内王朝) (4) 父は武内宿禰とする説

ここで、小生が放知技に書いた「仲哀天皇を殺めたのは応神天皇」という一文だが、世間の通説「仲哀天皇の子・応神天皇」を信じるとすれば、子による父殺しという話になってしまう。しかし、仲哀天皇と応神天皇の親子説を否定する説として、上記の「(4) 父は武内宿禰とする説」に目が留まる。武内宿禰と言えば、景行・成務・仲哀・応神・仁徳と、五代にわたる天皇に仕えた忠臣ということになっているが、それ以前に武内宿禰は実存の人物だったのだろうか、生母とされている神功皇后も本当に実存していたのだろうかと、未だに世間では意見が分かれているようだ。この点、安本氏や飯山さんと同じく、亀さんも間違いなく武内宿禰は実存していたと思う。
ここで、安本氏による応神天皇の出自説を、現在編集中の飯山史観というフィルタにかけたところ、今まで見えなかったものも見えてきた。そのあたりについては、今後追々とテーマごとに記事にしていくつもりだが、今回は最近亀さんが放知技で取り上げた「万世一系」について、少し言及しておこう。
最初に、故飯山一郎さんの以下の記事に目を通していただきたい。
 ◆2017/12/08(金) 【連載:ホンダワケ】 応神天皇は仲哀天皇の子?
冒頭の青文字の一文、「この二人の天皇に学ばないと↓日本は日本でなくなる!」とは、どういうことか? それは、飯山さんの記事にもあるように、「男系皇統を継続しないと、〝日本は日本でなくなる」ということだ。この「男系」についてだが、生物学的観点からmespesadoさんが素晴らしい投稿を行った。 http://grnba.bbs.fc2.com/reply/16675542/376-386/
特に、>>381は男系についての栗原茂と中川八洋の二人の男系説を、間違いなく凌駕している。根拠は、mespesadoさんによる以下の文章である。
ここでいう「良い」性質というのは、人間の集団が生き残るのに「都合が
良い」という意味で、そういう「良さ」を持ったリーダーがいたら、そのよ
うな性質を持つリーダーは、世代が交代しても、できるだけ長く継続してく
れた方が集団にとっても有難いわけですから、このような状態を「尊い」と
感じて重用する、というのが人類の生存にとって有利な戦略なわけですよね。
こうした視点は栗原説にも中川説にも無かったもので、目から鱗が落ちるとはこのことだと思った。なるほど、言われてみれば確かに…。
それに続く以下のmespesadoさんの「Y染色体」についての記述、すなわち、「Y染色体に含まれる遺伝子が発現することにより、〝良い性質〟が代々男系に引き継がれていく」という記述を目にして、思わず膝を叩いた。今まで、栗原茂説や中川八洋説に、今一つ腑に落ちなかったのだが、これが一気に氷解したのである。
そして、まさに私が前稿で書いたように、Y染色体は父から子へと形を変
えずに引き継がれるわけですから、このY染色体上に存在する遺伝子が発現
することによって表出するあらゆる「良い」性質が、代々男系で引き継がれ
る(このことが遺伝子などという知識の有無とは無関係に、ただ「代々引き
継がれていることが実際に観測される」から、誰にとっても明らかであるこ
とに注意!)からこそ、「男の方が女よりも尊い」という意識に繋がってい
るのではないでしょうか?
万世一系の話に戻るが、「三王朝交替説」を取り上げるまでもなく、過去において王朝の交替、すなわち万世一系は幾度も生物学的には断ち切られてきた。それを隠すため、上掲の飯山さんの記事にもあるように、日本書紀は応神天皇の御代について上手く胡麻化したということだ。
しかし、それでも神武天皇以来の万世一系は微動だにしない。何故なら、「霊性」の観点で見れば、間違いなく神武天皇の御代から現在にいたるまで、途切れることなく万世一系が続いているからだ。
- 関連記事
-
スポンサーサイト
|