プロフィール

亀さん

Author:亀さん
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

kamesan

人生は冥土までの暇潰し

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

人生は冥土までの暇潰し
亀さんは政治や歴史を主テーマにしたブログを開設しているんだけど、面白くないのか読んでくれる地元の親戚や知人はゼロ。そこで、身近な話題を主テーマに、熊さん八っつぁん的なブログを開設してみた…。
サンフランシスコの思い出
今東光の著した『和尚の舌』(KK・ロングセラーズ)で、感動した物語がある。

13051109.jpg

サン・フランシスコの思い出
あの坂の多いサン・フランシスコの街で、観光用に残してある前世紀の電車に乗って、山の射撃場でピストルを散々に射ちまくっているうちに、シスコの大火災を想い出した。あれは明治三十九年だったかしら。
そのシスコの大火の日、日本から一人の少女が米人夫妻に連れられてアメリカに着いたが、その夜、ホテルでこの大火に会い、自分を連れていった米人夫妻は焼死して仕舞ったのだ。見ず知らずの他国、しかも言葉は一切通ぜず、まして東西もわからない十七歳の日本少女は泣きながら焼け跡を歩き廻り、難民救済所に救われ、日本領事館の保護を受けたのは一カ月後だった。それまで一人の日本人にも出会わなかったのだ。
彼女は毎日泣きあかしたため片方の目を失明した。それでも強い生命力は彼女を生かしたのだ。
この娘は親切な米入に救われ、言葉を習いながら次第にアメリカの風土に親しみ、その後、数年ならずして渡米した日本の青年と結婚し、やがて商店を所有するまでに成功した。
この女性に会ったのは彼女が既に六十歳に達してからだった。
彼女からたどたどしい日本語で、この怖ろしい記憶を辿ってもらった時ほど感激したことはない。まるで一大坩堝と化したサン・フランシスコの街が炎々と燃えるのはローマの七丘が焼けるのと変りはない光景だったに相違ない。その猛炎に追い立てられる白黒黄の人間はまさにバッファローに比べられるだろう。誰しも生きたい一心で肉親をも省みずに東奔西走する。その中に混った孤独の日本少女。そういう立場に置いて自分を考えてみたまえ。よくぞ生きたという一言に尽きるのだ。
僕は大東亜戦争を体験し、自分を生命の限界のぎりぎりの極限に置いて、そこから小説の構想を立ててみたがどうも切実な実感が得られない。そこでこの日本娘のサン・フランシスコの大火という経験を掘り下げてみるが、こういう経験のない僕には描けそうもなかった。
日本人の少なからぬ人々が空襲に脅え、猛火に見舞われ、半死半生の目に会ったが、それでも隣りには日本人がいたのだ。言葉も通じれば、人情も解する同胞だ。しかしながら前記の日本娘の場合は外国での出来事だ。土地は不案内だし、言葉は皆目通じない。日本人は一人もいないのだ。このような設定は小説でも不可能だ。僕は随分今までも恐ろしい体験をした人に会っている。強盗と対座して数時間を持った人も知っている。けれども強盗といえども日本人なのだ。しかしながらこの日本女性のような怖ろしい体験を持っている入に出会ったことがない。
こういう人物に会うと、はじめて運命はあるものだと思わずにはいられない。彼女の運命の強靱さがこの怖ろしい体験を乗り越えさせたことは間違いない。のっぴきならない運命の瀬戸際に立って彼女の叫び、祈ったものは何だと質問すると、彼女は躊躇なく答えた。
「天皇陛下さま。助けて下さい。わたくしは日本人でございます」
彼女は親にもまさるものとして天皇を呼びつづけて生きたのだ。
天皇を忘れ、国家を軽蔑し、民族の誇りを喪っている現在の日本人にかかる経験をさせてやりたいと念う。
この女性は息子夫婦や孫達をアメリカに置いて今静かに故山に休んでいる。


13051110.jpg
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://toneri2672.blog.fc2.com/tb.php/165-f009c25d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)