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人生は冥土までの暇潰し
亀さんは政治や歴史を主テーマにしたブログを開設しているんだけど、面白くないのか読んでくれる地元の親戚や知人はゼロ。そこで、身近な話題を主テーマに、熊さん八っつぁん的なブログを開設してみた…。
あなた
ちょうど三ヶ月前の9月20日、夕食をとっていた時に「シェイクスピア」という言葉が耳に飛び込んできた。急いでテレビ画面に目を移すと、そこには翻訳家の松岡和子の姿があった。日本人でシェイクスピアを数多く翻訳し、シェイクスピア全集を出している文士として、坪内逍遥、小田島雄志、福田恆存といった、そうそうたる人物を挙げることができるが、そうした中の一人に松岡がいる。

18122001.jpeg

テレビ番組を追っていくうちに、これはブログ記事に書かねばと思ったほど、松岡の翻訳が他の文士とは違うことがわかった。だが、当時は仕事に追われていたこともあって、松岡についての記事の下書きを終えた段階でストップ、いつの間にか三ヶ月が過ぎていた。しかし、最近になって時間的な余裕ができたので、何かブログ記事をアップしようと思い、過去にためておいた一連の下書きの記事に目を通していた時、目に留まったのが件のテレビ番組だった。

ところで、何故に亀さんは松岡についての記事をアップしたいと思ったのか…、それは、亀さん自身が一介の翻訳者として見た、翻訳家としての松岡と、他の文士との違いに目に留まったからだ。すなわち、今までシェイクスピア全集の翻訳本を出した文士と異なり、松岡の場合、シェイクスピア戯曲を肚で翻訳している…。これは、どういうことか?

18122002.jpg

それは、松岡のシェイクスピア翻訳本の多くがシェイクスピア戯曲の舞台という場と直に結びついているということだ。殊に、故蜷川幸雄のシェイクスピア戯曲を手掛けた松岡の作品群は、亀さんに強烈な印象をもたらしたのだし、改めて翻訳とは何かについて、深く考えさせられたのである。

そのあたりについて、強く思い致したのは以下の記事で、デズデモーナ役として『オセロー』に出演した、蒼井優の何気ない一言であった。その蒼井の質問に対して、シェイクスピア作品に登場する人物像や男女関係の含意を、松岡が当初の訳出と正反対に変えたという行、今でも脳裏から離れないでいる。それは、「あなた」という言葉だ。

蒼井は松岡に、『オセロー』の稽古場で以下のように尋ねた。

「デズデモーナはオセローを「あなた」、続けて「あなた」って呼びかけてますけど、この「あなた」は全部同じですか?
蒼井優の質問で気づいた。没後400年、シェイクスピアはやっぱり凄い


この蒼井の質問に、松岡がどう反応したか、以下にそのまま引用しておこう。

蒼井の質問は的を射ていた。松岡がその場で原文を確かめてみると、たしかに彼女の指摘した箇所の「あなた」だけほかと違っていたのだ。

くだんの場面で最初にデズデモーナがオセローに言う「ご気分はいかが、あなた」は、原文では「How is't with you, my lord?」で、「あなた」は「my lord」に相当する。my lord は、高貴な身分の夫婦間で妻が夫を呼ぶときに使われる言葉で、現代日本の家庭で妻が夫を「あなた」と呼ぶのと感覚的には同じらしい。これをデズデモーナは劇中で何度もオセローへの呼びかけに使っている。

これに対して、オセローに「お前はどうだ、デズデモーナ」と訊き返されたデズデモーナのセリフ「元気よ、あなた」は、原文では「Well, my good lord.」で、myとlordのあいだに「good」が入る。これはより丁寧というか、むしろ慇懃ともいえる言い方だという。そしてこのデズデモーナのセリフは、その前にオセローが言った「元気ですよ、奥様(Well, my good lady.)」と対になっている。ようするに馬鹿丁寧とも他人行儀ともいえる夫の言葉に、妻も他人行儀で返したのだ。ただし、同じ他人行儀な物言いでも、それを口にする夫婦の内実はそれぞれまるで違う、と松岡は次のように説明する。

《つまり、ここではもう、オセローは妻とキャシオーの仲を疑っていて、内心穏やかではない。だから「ご気分はいかが、あなた」と聞かれたときに、これは心底からの馬鹿丁寧で、あるいは穏やかでない内心を隠そうとしてわざと馬鹿丁寧に my good lady と言った。(中略)それにたいしてデズデモーナが my good lord と他人行儀な呼びかけをするとき、これは心底ではない。キャシオーとの仲は清廉潔白だし、そもそも夫がそんなことを疑っていることすら、彼女は知らない。ですから、デズデモーナの他人行儀は一種のお茶目なギャグのようなものなんです。夫がふだん使わない言い方をした。それを「あ、ふざけてるんだ」と思って、そこで自分もふざけて、とっさに my good lord と返してみせたわけです》


本当に、翻訳は奥深い…
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