メインのデスクトップPCが最近に至って、仕事時の処理スピードが極端に遅くなり、支障をきたすようになったため、新しいデスクトップPCに替えることにしたのだが、仕事がなかなか途切れず、そのため新デスクトップPCの設定は無論のこと、ブログ更新の時間も取れない状態が続いていた。このままでは、今月のブログ更新は無理だなと諦めかけていた時、天から救いの手が…。そう、歯科&音楽ウォッチャーさんから新稿が届いたのだ!
今回のトピックスは「法歯学」なるもので、歯科&音楽ウォッチャーさんが最も得意とする分野の一つだ。新稿を読み進めながら、年に一回程度は通っている近所の歯医者さんで目撃したある事を思い出した。数年前、同病院の待合室で雑誌を読んでいた時に刑事らしい二人の男が突然訪問、身元確認のため同病院で治療を受けた患者某のデータ提出を院長に依頼したのである。今回の歯科&音楽ウォッチャーさんの原稿を読んで当時を思い出すと同時に、敬愛する西原克成先生の『歯はヒトの魂である』(青灯社)も思い出した次第である。そう、まさに歯はヒトの魂、命なのだ。
蒸し暑さから、ようやく解放され・・・とはいうものの、何とも長~いサマータイムでした。、暑さが続く間は、避暑地へ。避暑地といえば、軽井沢!気持ちも涼しく、軽井沢の別荘にて時間を忘れ、ゆるりと過ごしてまいりました。
と、まあ、そう言いたいところですが・・・気分だけは軽井沢の別荘をイメージして、せっせと図書館の喫茶コーナーへ通っておりました。図書館へは、片道、約12000歩ほど。おかげで、シャツもパンツも汗まみれ! 喫茶コーナーでは、一杯300円の珈琲を片手に読書。読書の一時は涼しく、別荘気分を満喫。しかし帰宅すると、またもや汗まみれ!!我が家には、文明の利器であるエアコンがありません。50年以上、病ひとつなく健康体で活躍する扇風機(今時の扇風機と違って、ちょっとごつい感じで重い)が一台。この先、まだまだ元気で長生きしそうです。 さて、300円レンタル別荘で、珈琲を飲みながら読んでいた一冊の本があります・・・鈴木和男(著)、「死体に歯あり 法歯学の現場」。 ーー「法歯学」=(ほうしがく)ーー あまり聞き慣れない言葉・・・というより、聞いたこともないと首を傾げたくなるようなものかも知れません。簡単に言えば、歯をもとに、歯から様々な情報を導き出すための学問ということなのですが・・・。 この法歯学という聞き慣れない言葉・・・歯から様々な情報を導き出すとはどのようなことなのか。下記、鈴木氏の話を紹介してみます。
***「法歯学」 もともとは、法医学の一分野として誕生し、容易には変質しないという歯の特徴を武器として、遺体の身元確認などに役立てられている。法歯学が世間で認知されるようになったのは、昭和60年(1985年)8月に起きた日航機墜落の時だろう。この事故の際、遺体の身元確認作業に法歯学者たちが携わり、大きな成果を上げて以来、歯が個人識別に欠かせないことが、一般にも認識されるようになったのである。 法歯学で最も大切なテーマは、個人識別である。個人識別とは、「この人は誰であるか」、あるいは、身体の一部が残されているときは、それが「誰の物であるか」ということを明らかにすることをいう。 個人識別に、なぜ法歯学が有効かというと、第一に人の歯は身体の組織の中で最も硬く、変質しにくいため、人が死んで他の体組織が失われても、最後まで残るからである。特に歯の表面のエナメル質は、内部の象牙質が消失しても帽子状態に残るほどしっかりしている。これを、エナメルキャップと呼ぶが、これは約3000年ももつといわれ、古い物では古墳時代のものでも残っている。また、歯は、口唇や頬によって保護されているので、生前の状態のまま残存することが多い。 第二に、歯や歯の治療痕跡(充填物や入れ歯など)の形態、歯列弓の形(歯並び)、歯槽骨紋理(歯の周囲の骨の模様)のX線所見などは、一人一人異なった形をしている。似ているものはあっても、同一の物はない。つまり、歯は指紋と同様、万人不動なのである。 第三に、現代では多くの人が身体検査を受けているため、身体検査表ないしは、歯の検査記録が学校、会社、官公庁などに保管されている。歯の治療を受けていれば、歯科医の元に詳しい情報の記載されたカルテやX線写真が保管されているはずである。有事の際には、こうしたデーターの比較照合が容易に可能である。 つまり、歯は証拠として採用されるうえで、安定性があり、固有性があって、照合のための記録が保管されている確率が高いという理由から、個人識別、すなわち一般的にいう身元確認に適しているといえるのである。***
ーーたった一本の歯からーー ***遺体が誰か見当が付いている場合と、まったく見当がついていない場合とがある。物理的手がかりを欠き、遺体がどこの誰か、まったくわからない身元不明死体、特に白骨死体の場合に、どのようにして歯および歯に接続する頭蓋骨から身元確認を行うのか? 人種 年齢 性別 血液型 体格 習慣 習癖 経済状況 顔面頭蓋の特徴および歯科治療状態 また、そこから推測できる歯科医に関する情報などを丹念に収集する。 先ず、人種についてみると、歯列弓(歯並び)の形が白人(コーカソイド)、黒人(ネグロイド) 黄色人種(モンゴロイド)ではそれぞれ違う。 白人は、歯列弓がV字形で、口蓋も深い。肉を引き裂くのに都合のいい、とがった形になっている。 黒人は、歯列弓がコの字形の方形が多い。 黄色人種は、放物線状の歯列弓で、口蓋は浅い。 また、鼻腔の状態で判断することができる。白人は高く狭い。黒人は、左右に広く、黄色人種はその中間である。
頭蓋から判断するには、頭蓋縫合の線を見る。骨と骨の統合部が縫い合わされたような形をしているため、縫合という。ただ、人種内にも個体差があるので、いずれの形態にしても、ただひとつの特徴によって人種を識別することは不可能であり、できる限り多くの特徴を観察することが必要である。
年齢の推定 口蓋縫合や頭蓋縫合の癒合、消失の状況から年齢を推定するのは、個体差がかなり大きいので、参考程度に留めておくのが望ましい。有効なのは、切歯縫合である。切歯縫合の場合は、末端から正中(中心)に向かって進み、20代で内側部には消失は認められない。30~40代では、内側部80パーセント、外側部96パーセントが消失。さらに、50代では、両側部では100パーセント消失しているが痕跡を留めている程度である。したがって、切歯縫合が残っていれば、50歳前であるといえる。加えて外側部が残っていれば、30代前後と考えて差し支えない。
性別判定 頭蓋骨の外観による判断、眉間の隆起の突出度によって判断が可能である。 男性は、ひたいの横から見た角度、目の上、眉毛の下の骨のところが、グッと前に出ていて、ヒサシになっている。ここは、前頭部眉弓といい、女性は、ずっとなめらかである。白骨になっても女性は優しい顔をしている。また、歯の大きさも男性と女性では違う。いちばん違いがわかりやすいのは犬歯である。幅、長さ、厚み、どれをとっても男性は大きく、女性は小さい。
血液型判定 ABO式血液型も、該当者を絞り込む上で重要な情報である。血液型判定の資料としては、歯牙(歯随細胞 象牙質)、歯石、義歯などがあげられる。義歯でも、材質がレジン(合成樹脂)などは、唾液が歯のなかに染みこむので、唾液を抽出すれば、血液型を決定することが出来る。
習慣 習癖の推測 それぞれの歯の摩耗の程度や、色素沈着(煙草のヤニ カフェインなど)の有無を調べる。そこから喫煙の習慣や歯ぎしり癖の有無などを推定する。
経済状態の推測 歯科治療の状態から、その人の治療時の経済状態を推測できる。使われた材料が高価で有り、保険外治療と思われる場合には、治療時の経済状態はきわめて良かったと判断される。 以上のように、歯科領域の特徴は、身元不明死体、事件に関わる白骨死体の個人識別情報を得るのに非常に有効なのである。加えて、歯科領域特有の情報である歯牙の補綴(差し歯 金冠 入れ歯 ブリッジなど)、充填(詰め物)などの歯科学的加工の状況によって、ある程度、年齢、職業、環境なども推測できる。 現在ではこの他に、死後経過時間、腐敗状況、死因など、多岐にわたって科学的な研究が行われている。***
ーー我が家でも暇潰し法歯学ーー 以前、ある歯科医院で自分の歯の石膏模型(上下全額模型)を作ってもらったことがありましたが・・・普段、歯を磨くときなど自分の歯を鏡でみることはあっても、上下、歯の並びの全体像を見ることは出来ないので(歯の裏側は、まず見ることはありません)。石膏模型にして見てみると、今まで考えもしなかった意外なことに気付きます。歯列弓(歯並び)をみて、どのようなアーチを描いているのか。左右、臼歯の咬合面の微妙な違い。これまでに、どこの歯を治療してきたのか(充填物 被せものなど)等々・・・毎日見ているうちに、様々な情報を、わが命の分身(上下全額模型)が無言のうちに教えてくれます。 ーー歯に響きありーー 歯を鏡で見る・・・で思い出しましたが、歯を鏡で見るとき、人差し指または、中指の爪を立てて歯を軽く叩いてみる・・・すると、乾いた音で短く響きます。いい音がします。これは健康な歯。響きが良くない鈍い音がすると、これは何かしら問題を抱えている部位かも知れません。また、補綴物(入れ歯、被せもの、詰め物)がある部位の音も、乾いたいい音と違いがあります。音の善し悪し(違い)も大事な情報です・・・これは、法歯学暇潰し応用編といったところでしょうか。更に遊び心を持って暇潰しの延長線で、例えば・・・ドナルド・トランプやヒラリー・クリントン。金正恩などの笑顔にこぼれ見える歯の並びや色、形を観察する。観察すると同時に音の善し悪しを想像してみる。金属音もすれば、有田焼のような瀬戸物を叩くようなサウンドも聞こえてくるかも知れません。 ついでながら、上記、名前を挙げた三人。この中の一人、乾いた音でいい響きを持っているであろうと思われる人物がおります・・・。加えて想像を膨らませてみると、その人物の影に、歯原病(虫歯から始まる全身の病気)に熟知したエキスパートが寄り添っているのではないでしょうか・・・。
ーー鈴木氏の話をもう一点ーー 鈴木氏は、法歯学が一般に認知されるようになったのは、昭和60年(1985年)8月に起きた日航機墜落の時であろうと話されておりますが、鈴木氏は、日航ジャンボ機が群馬県上野村の御巣鷹山に墜落炎上していることが発表された後、群馬県警から出動要請を受けて、遺体の検視、確認作業に携わり、その時の様子を書き記しています。下記 その一部を紹介します。
*** 遺体が運び込まれると、藤岡市民体育館の入り口左側の受付で記入する。入り口から続く通路とT字に交差する通路の両側に、緑色のビニールシートが敷いてあった。通路には二台の歯科用X線レントゲン。シートの上に検視のスペースが十一カ所(一カ所二畳程度)、衝立で仕切られていた。 生存者が四名ということは、五百二十名の遺体があるということだった。初日、二日目は、生存者四名が発見された近くで収容された遺体が多かったので、さすがにまだ形があった。しかし、その後に運ばれてくる遺体の損傷は想像を絶するものだった。五百二十名の遺体は決して一つでは無く、人間のパーツ(部分)あるいはフラグメント(断片)に過ぎなかった。収容が進むと、犠牲者の損傷状態はますますひどく墜落の衝撃の凄まじさをうかがわせた。外見から確認できる遺体はごくわずかであった。ほとんどは頭頂部や顔面部、四肢が欠損していた。また、焼けて炭素化していた。通常の識別方法での確認は不可能であった。長いこと遺体を見続けている私だが、こんな悲惨な光景に接するのは、初めてだった。 五百二十名の遺体ならば、一人の医師が五、六人を担当して検視するとして、百名程度でできる仕事と踏んでいた。ところが、そんな考えはフッ飛んでしまった。検視場の藤岡市民体育館は、外部からのぞかれるのを防ぐ理由で、暗幕が張りめぐらされていた。真夏の太陽は連日、屋根の上を照らしている。内部は、電源車から引かれた十二基の照明灯で照らされていた。その中を、二、三百人の警察官、百五十人を超す医師。歯科医師、看護婦たちが動き回っている。冷房装置は無く、換気扇は検視初日から故障した。体育館内の湿度は八十パーセント、室温は四十度を超した。運び込まれて目の前に置かれた肉塊は、人間のなんたるかを問うていた。それらの物体は、もはや人間の形をしていない。遺体または、離断遺体は腐敗防止のため冷凍され、検視と身元確認のため藤岡市民体育館に並べられた。***
ここでもう一冊のタイトルを・・・青山透子(著)「日航123便墜落 遺物は真相を語る」。 話題のノンフィクションとして手に取った方も、たくさんいるのではないでしょうか。 青山氏はこれまでに、「日航123便墜落 疑惑の始まり 天空の星たちへ」「日航123便墜落 墜落の新事実」という二冊のノンフィクションを書き上げており、「遺物は真相を語る」は、第三弾目。123便はなぜ落ちたのか、事故の背景に何があったのか。その真相を探るべく独自に地道な調査を積み重ね、まとめ上げたもの。この三冊のノンフィクション・シリーズは、図書館においても貸し出し予約が多数入っており・・・(別荘・図書館で図書予約を調べたところ)新刊図書扱いの第三弾が、予約70人。「疑惑の始まり」と「墜落の新事実」においては、40名ほどの予約状態となっておりました。
鈴木氏の遺体検視の様子のなかに、「焼けて炭素化していた」と記されたところがあります。このことについて、青山氏も著書で取り上げておりますが、両者の著書を併せて読み進めると、今まで見え隠れしていたものの、それでいて気付かなかった事実が浮き上がって見えてくるかも知れません。
ーー追記ーー 長い夏が始まって7月半ば・・・15日、夜のこと。 50年ぶりに珍客が何の予告もなく、我が家にふらりとやってきました。300円別荘から戻り、玄関を入ると光りながら動くものが・・・ 一瞬、何だろうかと明かりを付けて見ると、そこには、ホタルが!ビックリしました!!明かりを消して暫くホタルの光を眺めておりましたが、その光が何とも言えず美しく・・・暑さも疲れもすっかり忘れておりました。 ホタルの家庭訪問だったのか。訪問理由は、光の美しさに釘付けになっていたので、聞けず終いでしたが・・・。
今宵の寝酒・・・ではなく、一曲は、亀さんのアルゼンチン滞在記を読んで、ふと思い出した・・・フォーカス(FOCUS)の名曲、「シルヴィア(Sylvia)を!

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