 日本の山河に、千年を超えた祈りの時間が流る
昨年の暮れ、NHK BSプレミアムで「八百万の神がすむ山河~村治佳織、白洲正子祈りの古道を往く~」が放送され、時間が取れたら見ようと思って録画しておいたのだが、3ヶ月近く経った昨日、漸く観賞することができた。


この番組は、白州正子が歩いた祈りの古道を、スペインのマドリッドに居を構え、日本とスペインの間を行き来しているクラシックギタリスト、村治佳織が辿るという内容で、白州が歩いた祈りの古道の一つに熊野古道も登場していた。ちなみに、村治の住むスペインにも、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路があり、ともに世界遺産に指定されている。

だが、共通するのはそこまで。白州が歩いた祈りの古道は、神仏習合の道でもある。一方、村治の住むスペインでは、800年という長きにわたって、キリスト教とイスラム教との間で抗争が繰り広げてきた。神仏習合の日本と宗教抗争のスペイン、このあまりにも対照的な国を行き来する村治に、白州の歩んだ祈りの古道を辿らせるのも一興だと最初は思ったのだが、訪れた古道の処処で村治がクラシックギターを弾くのを見て、どこか違和感を覚えたのである。
因みに、以下は村治が弾いた曲名と場所…。
モンポウ:コンポステラ組曲よりコラール 熊野那智滝 作者未詳:愛のロマンス(禁じられた遊び) 美濃石徹白 ビゼー/佐藤弘和(編):ギターのためのカルメン組曲よりハバネラと間奏曲 白山 カタロニア民謡:聖母の御子 吉野天河大辨財天社 タレガ:アルハンブラ宮殿の想い出 河内金剛寺
 大杉の下で、「愛のロマンス」を弾く村治佳織
たとえば、白山信仰の道沿いにある石徹白の大杉(樹齢1800年)の下で、村治が「愛のロマンス」を弾くのはピンと来ないのだ。「愛のロマンス」は亀さんにとって、心から好きな曲の一つだが、やはり日本の古道には合わない。
亀さんが初めて生で「禁じられた遊び」を聞いたのは19歳の時で、場所はニューヨークであった。当時の亀さんは日本レストランでアルバイトをしていたのだが、同僚の一人に三浦さんという、本国スペインでギターの修行を積んだ先輩がいた。お互いに仕事を終えた後、他の同僚のアパートに集まって飲み会を開いたのだが、その時に三浦さんが弾いてくれたのが、「禁じられた遊び」であった。
それにしても、一神教のスペインと八百万の神々が御座す日本は、お互いが異質だなとつくづく思った。
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