青州への旅発ちが明後日に迫った。そんな折り、今日発行の世界戦略情報誌『みち』の校正を、昨日お手伝いしたのだが、興味深かったのが黄不動さんの以下の記述であった。
支那民族の底に流れる宗族、幇会の認識も忘れてはならない。蒋介石父子が最古最強の結社に属していた事実は案外知られていないが、これを正視することが東支那海の安定にも繋がると思われる。
 「栄三姉妹」および「蒋介石(左)と孫文(右)」
この行を目にした時、脳裏に浮かんだのが孫文、そして栄家三姉妹であった。次女の栄慶齢は孫文の妻となり、三女の栄美齢は蒋介石と結ばれている。つまり、孫文と蒋介石は義理の兄弟であった。ちなみに、長女の栄靄齢は、孔子の直系子孫の孔祥熙と結婚している。
「蒋介石父子が最強の結社に属していた」という黄不動さんの記述で、咄嗟に思い出したのが孫文であり、孫文の父も三合会(広東最大暴力団)のトップであった。人民網も孫文と結社の関係について言及している。 辛亥革命にかかわった歴史上の人物


さて、黄不動さんが仰せの「支那民族の底に流れる宗族、幇会の認識も忘れてはならない」だが、初めての訪中を明後日に控え、現在精力的に読み進めているのが、『小室直樹の中国原論』(小室直樹 徳間書店)である。小室直樹も中国を解くキーワードとして、宗族と幇を同書の中で取り上げているのだ。
中国社会の経緯は、タテの共同体(Gemeinde - ゲマインデ)たる「宗族」と、ヨコの共同体たる「幇」である。 『小室直樹の中国原論』p.5
また、幇と『三国志』を結びつけ、小室直樹は以下のように語っている。
『三国志』こそ、中国的人間関係を理解するためには、まことにこよなき教科書かな。 毛沢東は『三国志』を熟読した故に人民革命に成功し、蒋介石は『三国志』を読まなかった故に大陸を失ったのだという説があるが、まことに宜なるかな。 『小室直樹の中国原論』p.21
そして、中国を理解するには幇の理解が不可欠と、小室直樹は結論づけた。
幇の理解は、日本人にとってもアメリカ人にとっても、困難に絶する。 しかし、幇の理解こそ中国理解の急所である。中国人とつきあう秘訣もここにある。 『小室直樹の中国原論』p.48
ご参考までに、小室直樹の『三国志』観を示す行を、『中国共産党帝国の崩壊』からも探し出し、拙稿「紅迷」で引用しているが、本稿でも再掲しておこう。
三国志に通暁したらたいしたもの。中国の革命とはこんなもんだ。それがわかってしまう。p.153
三国志を心して読むと、今の中国の行く末も予測できるというものだ。p.166

亀さんは柴田錬三郎の訳した三国志、『英雄 生きるべきか 死すべきか』(上・中・下の各巻)を、若い頃に一度読んだっきりである。一方、現在青州を訪問中の堺のおっさんの場合、10回は三国志を読み返したと掲示板「放知技」に書いていた。だから、堺のおっさんの方が深く中国を理解できるはずだ。
 http://grnba.bbs.fc2.com/reply/15817120/636/
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