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人生は冥土までの暇潰し
亀さんは政治や歴史を主テーマにしたブログを開設しているんだけど、面白くないのか読んでくれる地元の親戚や知人はゼロ。そこで、身近な話題を主テーマに、熊さん八っつぁん的なブログを開設してみた…。
幸田家の人びと
2003年1月28日にNHKで放映されたという、「幸田家の人びと~江戸・平成 四代の物語~」を観た。明治という時代が生んだ最高の文学者と言えば森鴎外であり、その森鴎外と並ぶ人物と言えば、文学というジャンルとは少し外れるが幸田露伴だろう。露伴と言えば、岩波書店で全44冊の『露伴全集』が出ており、前々から欲しいと思っている全集だ。あと数年で子供たちが巣立つので、その頃に入手して『露伴全集』を心ゆくまで紐解きたいと思っており、今から楽しみだ。

ここで、今東光の〝文学論〟があるので以下に転載しておこう。


鵬外と漱石について

和尚は鴎外と漱石についてどう思うか? 和尚はその二人に会ったことがあるか? また日本の文学史上で最も尊敬しているのは誰か? (大阪市西区南堀江 匿名希望)

一番尊敬しているのはやっばり鴎外だね。それから泉鏡花、永井荷風という流れがオレは好きだ。

やっばり偉大だと思うよ。でも、いま鴎外を本当に読める人っていないんじゃないか。鴎外と並ぶといったら、ちょっと文学者としての概念から外れるけど幸田露伴だろうな。この人は学者としても偉いからね。それくらい中国の本を読んでいる人は少ないから。偉いもんだよ。

鵬外に比べると漱石はちょっと落ちる。鴎外の方が次元がぐっと高い。二人並べたら何といっても鴎外だ。漱石は女子供も読めて通俗的だけど、鴎外は苦しんで読むんだ。「渋江抽斎」は津軽だから、ああいうのを書く時、鴎外はちゃんとオレの伯父と文通して資料を集めてたよ。

この伯父というのが、例の津軽で医者をやっていた伯父でね。その息子がケン力がべら棒に強い、ヤクザの指をへし折った例の従兄だ。その伯父と、鴎外、後藤新平、北里柴三郎なんていう連中はみんた大学予備門で一緒だったんだよ、いまの東大だな。オレが中学を放校されて東京に出てきたばかりの頃、その伯父の使いで鴎外の家へ行ったことがあるんだ。

千駄木の〝観潮楼〟と称している家で、二階から昔は品川の海が見えたんだ。そのころとしてはいい家でね。当時、作家で自分の家を持っているなんていうのはいねえんだよ。五指を屈するぐらいだろうな。玄関で家の人に伯父の手紙を渡したら、ひげを生やした先生が出てらしてね。

「君はどういう……」と言うから、「私は伊東重の妹の伜でございます。あれは伯父に当ります」と言ったら、「おう、そうか。何て言うんだ?」と言うので、「今東光と言うんです」。覚えてやしないけどね。「確かに受け取った。返事はいますぐ書かなくていいんだろう?」「とにかく、お手渡しするようにとのことでございましたから」「ああ、そう」

オレが絵を描きに谷中の画塾へ行くのに、絵の道具を担いで歩いていくと、先生がね、団子坂の上から肴町ぐらいまでをお歩きになるんだ。その先にお迎えが来てるんだ、なにしろ軍医総監だから。そこまで先生は軍帽をかぶって軍服を着て、ズラーッと長いマントを着て、勲一等の勲章をつけてね。とてもカッコがよかった。それでオレと会うと、オレがお辞儀するんだ。すると、「こいつ、何処かで見たな」というような顔をなさってね。そしてちゃんと敬礼をしてくれるんだよ。それが、カッコよくてね。みんたが見ている中で、サッとこうやるんだ。

漱石には一度、武者小路に紹介されたな。いまの帝国ホテルの隣に華族会館というのがあってね。そこで小さな音楽会があった時、武者小路に連れていかれたんだが、そうしたら廊下で武者小路が「ハーッ」とお辞儀してしばらく話している。「アッ、夏目さんだな」と思ってオレは見てたんだよ。

武者小路は何もオレを紹介してくれなくてもいいのに、やはり、華族の杜交性なんだろうな、そこにオレがヒョッと立ってたら、「これ、今東光君」と言って紹介してくれたんだ。そうしたら夏目さん、「ああ」と。なに、こっちはまだガキだし、東京に出てきたばかりの18の年だから。「ああ」と言ったきり眼中歯牙にもかけず、なんだろうというようた顔をしていた。

そこで黙ってりゃあよかったのに、オレがよけいなこと、言っちゃった。「胃はこの頃いかがですか?」って。お世辞のつもりで。そうしたら、ニヤッと笑って、「相変らずだ」と言ったんだ。やっはりよくなかったんだろうな。ま、それだけの話でね。それっきり会ったことはない。

鴎外の作品と比べれば、漱石の小説は、まあ、落語みたいたものだよ。だから大衆性があって、いまでも読まれているんだ。

『最後の極道辻説法』p.123
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幸田露伴と娘の文(あや)
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