12月15日に発行された『みち』の巻頭言、「エルサレム首都承認で地に墜ちた米国の威信」は、ある意味で興味深い内容であった。以下、亀さんが同記事を一読して思ったことを書いておこう。
最初に巻頭言の以下の記述…
●クシュナー和平案のお先棒を担いだのはサウジのムハンマド・サルマン皇太子だけで、11月中旬首都リヤドにアッバース議長を呼びつけクシュナー案を受け容れろと恫喝したが、当然にも聞き入れるはずがない。かくして、無理難題を押しつけようとしたクシュナー和平案は目論見通り挫折した。
ここで、サルマン皇太子がアッパース議長を〝呼びつけた〟という記事を書いたのは、ニューヨークタイムズだったという点に注目していただきたい。
In a mysterious trip last month, Mahmoud Abbas, the Palestinian president, traveled to Saudi Arabia’s capital for consultations with the hard-charging crown prince about President Trump’s plans for Middle East peace. Talk of a Peace Plan That Snubs Palestinians Roils Middle East
トランプ大統領が云うところのフェイクニュースを垂れ流している、大手マスコミの一つがニューヨークタイムズであることに思いを致せば、ネオコン新聞であるニューヨークタイムズの記事の行間が透けて読み取れよう。
つまり、今のアメリカは壮絶な〝第二次〟南北戦争の最中ということだ、ちなみに、ここで云う「第二次南北戦争」とは、米国の立て直しを第一に置くトランプ(アメリカ・ファースト)と、好戦ネオコン派との間で繰り広げられている戦争を指し、米国で巻き起こっているロシア疑惑も、ネオコンが流したフェイクニュースの一つだということが分かる。いわゆる、米国版「モリカケ騒動」といったところだ。
ともあれ、「第二次南北戦争」の実態を正確に捉えていれば、アッバース議長がリヤドに赴いた理由、サルマン皇太子との会談内容も、大凡推測できると思う。つまり、シリアを始めとする中東各地でカラー革命という、悪業の数々を重ねてきたネオコン対策こそが、会談の主な内容だったはずだ。
ご参考までに、以下は「第二次南北戦争」という視座が、物の見事に欠落している記事の一例だ。 クシュナーとサウジアラビア皇太子… 大混乱を引き起こす神童たち
同記事の以下の記述に注目していただきたい。
クシュナーと、その親しい友人だというサウジアラビア皇太子という二人の初心者は、自分たちは“創造的革命児”だと思っている。神童。
この記事の筆者は、Finian CUNNINGHAMという国際政治のジャーナリストだが、サルマン皇太子を〝神童〟と皮肉っているあたりに、同氏のジャーナリストとしての限界を見る。
『みち』の巻頭言に戻って、以下の最終行…
今後、米国に騙されたサルマン皇太子が親米路線から遠ざかるのは必至である。
その通りである。ただし、亀さんだったら以下のように補足して書いていただろう。
米国のネオコンに騙された振りをしてきたサルマン皇太子が、ネオコンという親米路線から遠ざかるのは必至である。
プーチンのロシアによって壊滅状態に追いやられたのがIS、すなわちネオコンなら、ロシア疑惑で防戦一方だったトランプが、ここに来て次第に国内のネオコンを追いやりつつある今日、ブログ「大和心への回帰」の〝予兆〟も現実のものとなりそうだ。
これは力による統治の終焉と、新しい価値観…高い精神性に根差した国際社会からの信頼感と認知を得る国家…が新たな時代の盟主として台頭することの予兆である。 日本・盟主時代の幕開け(その1)
その意味で、巻頭言でも言及している「中東和平ジャレッド案」を、〝活用〟したサルマン皇太子は見事という他はない。このあたりの背景は、飯山一郎さんの以下の記事を読めば自ずと納得できよう。 トランプ:エルサレムへの大使館移転命令
新しい世界が、プーチンを中心に、トランプ、習近平、安倍晋三、サルマン皇太子といったリーダーたちによって、切り拓かれる日も近い。

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