拙ブログにコメントを寄せてくれるのは、何も記事の「コメント欄」だけではない。読者が「拍手」を押した際に表示される「この記事へのコメント」にも、掲示板「放知技」の綺麗なお姐さんたちを中心に、コメントを寄せてくれているのだ(亀さんって、モテモテ)。
ところで少し前の記事になるが、拙稿「日本だけ取り残され…」の拍手欄のコメントで、〝不気味な存在〟について言及していた読者がいたが、それは〝黒い貴族〟を指していたものと思われる。
さて、現在の世界を動かしている中心人物が、ロシアのプーチン大統領であることに異論はないと思うが、一方で英国、すなわち黒い貴族がどう出るか、注視していく必要がある。何故なら、良い意味でも悪い意味でも、今後の人類の運命を彼らが左右するからだ。
今回は、この〝不気味な存在〟、すなわち〝黒い貴族〟について書いておこう。
実は、この〝不気味な存在〟について、明確に回答を示ているのが天童竺丸さんの『悪の遺産ヴェネツィア』であり、同書については旧稿『悪の遺産ヴェネツィア』で紹介済みだ。その中で、同書の白眉とも云える最終章の「世界権力の正体を明かす」を転載しているので、この機会に読者に目を通してもらえたら幸いだ。
ところで今朝の拙稿「余命半年…」で、亀さん宅で保管している『月刊日本』を写真で紹介したが、所有している『月刊日本』で最も古いのが2008年5月号だ。神計らいでパラパラと同誌2008年5月号を捲ってみたところ、野間健先生(衆議院議員)の記事が目に飛び込んできた。一読し、貴重な記事であると判断したので、画像化して以下にアップしておこう。


同記事で読者に注目して戴きたいのは、野間先生の以下の記述だ。
本書(亀さん注;『「今のロシア」がわかる本>』)はロシアの現状を概説する案内所の体裁を撮りながら、その実「今のロシア」を通して「今の世界」を論じた高度なインテリジェンスが詰まった本である。
亀さんも『「今のロシア」がわかる本>』に目を通しており、今回久しぶりに書架から引っ張り出してみた。亀さんは同書をアマゾンで購入しているが、購入日が2008年6月9日とある。だから、野間先生の記事を読んで購入したのは間違いなさそうだ。久しぶりに同書をパラパラと捲ってみたところ、幾本もの赤線や青線が引いてあったので、その内の数ヶ所を引用しておこう。著者・畔蒜泰助さんの凄さがわかるはずだ。
著者が本書のなかで駆使しているのは、一定の仮設に基づき、公開情報をつなぎ合わせながら、より高次の結論を導き出すインテリジェンスの手法である。これによって、日々、新聞の国際面などの情報に触れているだけでは到底みえてこない戦略家・プーチンの思考回路を、可能な限り浮かび上がらせるつもりである。 『「今のロシア」がわかる本』p.5
ロシア人には、あまり後先のことは考えずに、物事の本質を哲学的に探求するという性向がある。チャイコフスキーやドストエフスキーといった偉大な音楽家・文豪を輩出した国なのである。 これは、常に新しい技術や思想に触れる機会のある海洋国家民族が功利主義的なのに対し、そのような機会があまりない大陸的国家民族は1つの物事を哲学的に探求する特性をもつことと無縁ではないであろう。 『「今のロシア」がわかる本』p.22
ロシアはその国益に反する動きがあれば、これにあらゆる手段で抵抗を試みることも辞さない国なのだ。 この現実を認識しながらロシアという国の動きを深いところで読み解いていかないと、この国が本当に何を目指しているのか、根幹のところを理解するのは難しい。 『「今のロシア」がわかる本』p.24
地政戦略とは、外交戦略のさらに上位に位置付けられるもの。ロシアのような大国の外交戦略を論じる場合、まず、その地政戦略の方向性を把握し、その文脈から、プーチン・ロシアが今何を目指し、実際、どのような闘いを繰り広げているのか、読み解く必要がある。 『「今のロシア」がわかる本』p.40
最後に、以下は亀さんが同書の白眉とすら思った行である。
繰り返す。プーチンとプリマコフが9・11テロ事件後、米露「対テロ」共闘路線に踏み込むことで、果敢に攻撃を仕掛けているのは、米ネオコン派そのものではなく、それをも包括するより大きな国際資金洗浄ネットワークであり、その中心はロンドンのシティーにある。リトビネンコ変死事件が示唆しているのは、まさにそのことなのではないか。 『「今のロシア」がわかる本』p.185
改めて、ここで『「今のロシア」がわかる本』、および『悪の遺産ヴェネツィア』の最終章「世界権力の正体を明かす」を読み比べていただきたい。ちなみに、天童さんと畔蒜さんは互いに旧知の間柄であり、また亀さんはお二人ともよく知っているだけに、自信をもって両書を推薦する次第である。なお、『「今のロシア」がわかる本』は絶版本だが、幸いにして古本60冊近くの在庫がアマゾンにある。飯山一郎さんも人類の運命を左右するのはプーチンと語って語っておられるように、プーチンの〝戦略〟を理解することは、今後の世界で生きていく上で不可欠なだけに、手許に置いておいて決して損のない本である。

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