
落合(莞爾)さんの『南北朝こそ日本の機密』(成甲書房)が届いた。すでに同書の草稿に目を通していたが、改めて本の形になると凄い本を出したなとつくづく思う。今までは現皇室は北朝末裔とばかり思っていたのに、表紙の「現皇室は南朝の末裔だ」という黄色文字が目に飛び込み、驚愕した読者も多かったはずだ。ともあれ、今回の南北朝の秘話は未だ公開すべき情報ではなかったはずだが、同書の「自序」で落合さん自身が述べている経緯が、最終的に落合さんをして同書の出版に踏み切らせたのである。
朝彦親王の背景を知れば、勢い室町時代の伏見宮家創立まで遡ります。そこに顕れてきたのは、実に驚くべき極秘の史実です。 これを、この時点で公開すべきかどうか、判断に悩んでいた処、私の南北朝論を聞いた一友人が「これを見ろ。今もまた南北朝問題を惹き起こそうとしている連中がいるじゃないか。国論分裂と国民相撃つ悲劇を避けるため、至急これを世に問うべきだ」と強く促されました。友人の指し示したのはさる女性雑誌で、皇室関係の記事を満載しています。 ここに、尹宮朝彦親王と南北朝問題の真相を天下に周知さすべき時節の到来を実感した私は、これを天下に公開するための著作に取り掛かり、本稿を脱稿いたしました。 『南北朝こそ日本の機密』p.10
落合さんのいう「女性雑誌」以降、さらに〝敵〟のやり口は巧妙になって、あの真面目な山折哲雄氏を担ぎ出すに至っている。そのあたりは拙ブログでも記事にしているので一読願いたい。 皇太子殿下の祈り
それに関連して、落合さんも同書の「終わりに」で以下のように述べているのは流石と思った。
本稿を脱稿して七日後の二月十八日、流通先で覧せられた『新潮45』誌に、驚くべき記事がありました。山折哲雄の「皇太子殿下、後退位なさいませ」と題する一文です。内容を一言で言うと、「雅子妃殿下の健康が問題だから、皇太子殿下はその地位を秋篠宮に譲り、家庭人として看病してあげなさい」というような趣旨であります。 これを見て直感的に浮かんだのが「南北朝の再来」です。山折説の当否を本稿は論じる立場にありませんが、同趣旨の記事はこれまでは女性雑誌の専売で、報道に名を籍りた皇族個人に関する事実無根の記事で満ち溢れています。雑誌編集者はただ売れればよいとの考えで、読者の好奇心に訴えるだけの憶測記事を流しているつもりでも、このような報道が重なれば、いつしか国民の脳裏に刻まれて固定観念になり、国民の間に誤った皇族感情を形成し、流布する可能性は決して低くありません。 雅子妃殿下の健康問題を憂うる主婦層の声はすでに巷に満ち、このまま放置すれば、延いては夫君の行蔵の批判にまでおよぶことを否定できません。ここに、国民間に心理的断層形成せんと狙う外敵の詭計が及ぶ恐れがあります。いつの世にもどんな場合にも「競わず争わす」に徹して、反論はおろか弁明すら一切しない皇室を、対象の好奇心をカネに替えるための好都合な対象と考える商業メディアは、外敵からすれば最も操縦しやすい洗脳機関なのです。 国民は、わが皇室に関して正常な判断を維持するために、常にこのことを念頭に置いておく必要があります。 『南北朝こそ日本の機密』p.283
これでお分かりのように、『南北朝こそ日本の機密』は単に歴史の秘話を述べているだけに留まらず、皇室および我が国の明日を憂う真の日本人のための書でもあるといえよう。

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