
1~2年ほど前、経営科学という出版社が立て続けに出した、GHQ焚書を数冊入手したことがある。そうした一冊に『興亞の大業』(松岡洋右)があったのだが、仕事(翻訳)や雑用に忙殺されていたこともあり、最近に至って漸く同書を紐解くことができた。
その『興亞の大業』、数日前に松岡洋右が十代の頃に渡米し、現地で苦労したという行を目にして、松岡の若き日を思い出したものである。
私は十四の時にアメリカでルンペンになった ・・・中略・・・ 自分と異うものと比較して見て初めて自分と謂うものが判るのである。・・・中略・・・ 日本だけで育って、外の民族を余り見ないと、日本人とは如何なるものであるかという謂うことを知る道がない。 『興亞の大業』p.72
小生も十代の時に日本を飛び出しているが、その時の体験をもとに、日本人のタイプを拙稿「南方熊楠の世界(4)」で以下のように分類した。
国粋派 コスモポリタン派 脱藩派
各々のタイプについての解説は、上掲の拙稿「南方熊楠の世界(4)」で行っているので、関心のある読者は一度確認していただければと思う。
さて、小生は拙稿「古希」で十代の頃に海外で放浪した体験を通して、「心技体」のうちの「心」を鍛えたと書いたが、そのあたりについては松岡洋右の言葉、「自分と異うものと比較して見て初めて自分と謂うものが判るのである」の通りだ。
ここで、海外放浪、小生の言葉で言えば「海外武者修行」を、小生は二十代から三十代の読者にすすめたいと思う。それは、拙稿「若者の未来」にも書いた、「一部の心ある日本の若者は、(このままでは)日本には未来が無いことを見抜いている」の通り、国内に目を向ければ低賃金で非正規の若者、未来に希望を持てない若者が激増、海外に目を転じれば、未だに続く露宇紛争やシリコンバレー銀行・クレディ・スイス問題といった具合に、世界中が閉塞感に覆われてしまった感が強いからだ。そうした世の中なだけに、心ある若者に今後の身の振り方について、ヒントになりそうな動画を以下に紹介したい。
【中東情勢】あなたが知らないドバイ,世界最大級の政府系ファンドと無税国家と脱石油の真実

このように、湾岸諸国の発展ぶりには目を見張るものがあり、気宇壮大な気持ちになるだろうし、湾岸諸国に赴いて一旗揚げるのも悪くはないかもしれない。
また、サウジアラビアのMBS(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子)はゲームやアニメが大好きで、アニメやゲームのコンテンツ産業を育て上げたいようだと、石田和靖氏は語っていたが、拙稿「生命」で紹介した映画「すずめの戸締まり」を例に挙げるまでもなく、コンテンツでは日本は他国よりも抜きん出ているだけに、アニメやゲームを仕事にしている日本の若者には、湾岸諸国での仕事に挑戦して欲しいと密かに願っている。
映画『すずめの戸締まり』予告②【11月11日(金)公開】
小生の子ども時代はゲームやアニメというものは無かったが、成人してからゲーム会社に就いたのでゲームの楽しさを知っているし、子ども時代は漫画に夢中だったものだ。そのためだろうか、小生は視覚に訴えるブログを目指しているし、動画やイラストも多い。
昨今の日本の若者は海外赴任をしたがらないという話を耳にするが、そんな若者のため、上掲の拙稿「南方熊楠の世界(4)」で紹介した、『日本脱藩のすすめ』(藤原肇)の一部を以下に再掲しておこう。
新しい人生の節目である四〇歳を迎える四ヵ月ほど前に、機会があったので独立してコンサルタント業を始めました。この仕事はプロフェショナルとして、実に厳しい真剣勝負の世界で、それだけに勉強しなくてはならないのできついけど、自分に知識をインプットする上でやっておいた方がいいと判断したものや、こういう人と仕事をしておくと情報が得られると考えた場合、そういうことをやっておくのはコンサルタントとして財産作りの役目を果たします。 独立のすすめ
無論、海外武者修行は何も湾岸諸国ではなくてもよいわけで、ともかく若いうちの海外体験を強くお勧めしたい。それにより、自分を生み育んでくれた日本の素晴らしさを、身を以て知ることができよう。
若い読者の健闘を祈る。
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